「マーケティング」という大海を、航海するための羅針盤 #11後編

マネージャーの役割は、未来を話すこと。「良い1on1」の条件とは?

 

⑥    WHATではなく、WHY


 メンバーは自分の意見を言うときは、「これをやります!」と「何を=WHAT」を説明しがちですが、「なぜ(WHY)その選択肢を取ろうと思うのか」という説明に時間をかけるべきです。「for you(相手のために)」の視点でWHYのレベルが合意できていると、アウトプットのWHATやHOWもマネージャーとメンバーで齟齬は起きにくくなります。まずはWHYです。

 WHYという部分の腹落ち感がないと、物事は結果が上手いこと行きません。WHATとHOWはどうしてもタスクとして考えがちではあるので、何事においても自分の決断や意志に対するWHYを説明できると、マネージャーは納得し、安心して仕事を任せてくれます。

 メンバーが、WHATやHOWを中心に話すタイプの場合、マネージャーはWHYを聞いていくのが良いでしょう。相手が普段から考えてない角度からして、気づきを提供するのが良い質問です。

 そのためには、相手の考え方の癖を見抜いておく、個別対応が必要です。これは最近よくいるのですが、将来やりたいことばかりを主張している人には、未来の話ではなく、あえて角度の違う現在の話を中心にして気づきを与えるなどの工夫ができます。さらに、何事においてもWHYの言語化をしてもらうと、相手への理解が深まります。手法を話すメンバーには、理由を深掘りして聞いて行くのが大切です。


 

⑦    わかるより、できるかどうか


 マネージャーと相互理解し、未来に向けて自分のミッションのWHYを定義しました。ここで大切なのは、わかった気にならないことです。ビジネス本を読んでアウトプットしない人は、実は何も身についてないのと同じで、メンバーは1on1を通じて学んだことは実行に移して、ビジネス上の結果やキャリア形成に結びつけていく必要あります。

 ポイントは、目標を成し遂げるために必要なことの分解です。「わかった」あとに、なんとなく「できる」を意識と過去の経験で片付けるのではなく、少しでも「できる」の確率を上げるために、さらに「知る」べきことを、積み重ねることが大切です。ダメなのは、マネージャーに向かって「明日から意識します!」とホワッとしたものを提示することです。

 「意識する」ことはもちろん大切ですが、それは単にスタート地点に立っているだけです。ここからは成果を上げるための態度や行動の変化が求められます。できるために「行動」「知る」「努力」することを怠らずに、できたかどうかを振り返れるようになれると、成長の角度がググッと上がっていくのではないでしょうか。

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