「マーケティング」という大海を、航海するための羅針盤 #11後編

マネージャーの役割は、未来を話すこと。「良い1on1」の条件とは?

 

⑧    ネクストアクション、学びはなんだったのか?


 締めくくりは、上司とメンバーで次から具体的にどう行動していくのか、学びは何だったのかを共有することです。ここは色々なパターンがあると思います。マネージャーが議事録を書いて共有したり、メンバーが書いたりすることもあります。

 大切なのは、お互いの時間を使ったものなので、内容がずれてないかどうかと、次回以降も時間を取りたいという余韻が残っているかです。一方的な進捗管理で詰めると、メンバーは二度と時間は取りたくないです。

 内容によっては、マネージャーから強めのインプットを入れる必要があります。ただ、そのインプットは、相手が受容しようとする姿勢があるかがポイントです。これがない場合、何を言ったところで相手には届きません。結局のところは、お互いの信頼関係がポイントになります。

 また、最後にコロナ禍での、オンラインとオフラインの温度感の違いへの対応についても考えたいと思います。この1年で、業界によって差はありますが、社内外問わずオンラインでのミーティングが圧倒的に増えました。また、オンラインになって環境に適応できず、マネジメントに苦労するという相談をよく聞きます。



 この状況はマネージャーの真価が問われています。あの人はオフラインマネジメントは上手いけど、オンラインは苦手っていうのでは、ビジネスは成立しないんで、オンオフ問わずに、きちんと成果を出せる人が求められます。

 前提として、オンラインのMTGでは相手から得られる情報がまず少ないです。表情や温度感、服装などの視覚情報が少なく、資料を投影している時には、表情の情報も見えない場合があるので、高レベルの観察力が求められます。1on1が始まってから観察していては大変なので、普段の相手の情報をいっぱい知っておくことが必須です。

 例えば、1on1のアイスブレイクで使う「最近どう?」って入り方をする人も多いかもしれません。私もたまに使うのですが、ただ私の場合は本気で「最近どう?」を知りたい訳ではないですし、アイスブレイクみたいに使うわけでもありません。相手のここ1週間の出来事をSlackやメールや周囲からの伝達で観察した上で、今どういうコンディションなのか、この質問に対する答えから探るために使っています。例えば、観察していて仕事が上手く進んでいないメンバーに「最近どう?」と声をかけて、全部をさらけ出すか、マネージャーには言わずに心を閉じているかで、大きな違いが生まれます。マネージャーの目線として大切なのは、メンバーに効果的な問いを投げて、思考力をあげることだと考えています。

 今後、コロナが収束したとしても、オンラインでの面会は以前より大きく増えると思います。逆にオフラインは重要な時に限られてくるはず。「相手に愛を伝えたい、とっておきの時にオフラインは提案する」というタイミングのセンスが求められると思います。

 また、リモートの効率性がわかった人がオフラインに移行しにくくなっているのは事実で、「この人のためならオフラインでも時間を割いても、良いのだな」っていうワクワク感を持ってもらえるかどうかも以前より何倍も大切になるはずです。

 今回の1on1の話はいかがでしたでしょうか?

 あくまでも私の経験談から書いているものですが、読んで頂いた方に、何か1つでも参考になるものがあれば良いと思っております。ありがとうございました。
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