ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #06
既成概念で「NO」と言われたことは、成功する【吉野家 田中安人】聞き手:ニトリ田岡敬
既成概念でNOと言われたことは成功する
田岡 レアル・マドリードが、田中さんたちを選んだ理由は何だったのですか。田中 ディレクターからは「君たちが一番レアル・マドリードの100年先の未来を考えてくれた」と言われました。ヨーロッパにおける、サッカーは文化です。スター選手が大臣と同格に扱われたり、市民は先祖代々で同じスタジアムの席に座りその席でプロポーズしたり、誰もがエピソードを持っているんです。
ただ、その文化をそのまま他国に持ち込んでも理解してもらうのは難しく、どうしても話題化のためにバラエティコンテンツになってしまう。サッカー文化の中のレアル・マドリードの価値を伝えるプランを、丁寧に噛み砕いて説明したことが良かったようです。
女子十二楽坊とレアル・マドリードとの経験に共通していたのは、20世紀の敏腕プロデューサーたちが全員、「うまくいくはずがない」と言ったことです。そこから学んだのは、「既成概念の中でNOと言われたことは成功する」ということです。つまり、既成概念を飛び越えられれば、マーケットから受け入れられるという真実です。
田岡 そのことを、身をもって体験されたのですね。
田中 はい。それから先も、実践の場を通して、さまざまなことを覚えていきました。僕は汗をかきながら動く、「現場のマーケター」なんです。
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