Droga5 Tokyo #01

日本も「世界水準のブランド体験」へと変革を、Droga5 CCO 浅井雅也氏の挑戦

 

アイデアで人の意識が変わることに魅力を感じる

――進路を選択する時期に渡米されていますが、もともと広告やクリエイティブという仕事を学ぼうと思ったきっかけは、なんでしょうか。

 最初はあまり意識していませんでした。いま振り返ると、留学当初に感じていた言葉の壁が理由だと思います。アートというフォーマットは「ノンバーバルに表現できる」という居心地の良さを感じて、惹かれていきました。

大学に進学したときには動画制作を学ぼうと思っていましたが、学部選択のときに広告専攻があること知り、その道を選びました。

履修して気づいたのは、広告がビジネスの課題を解決できるという可能性や、アイデアで人の意識を変えられるという面白さでした。人に伝わる表現やコミュニケーションとは何なのか考えるようになり、どんどん広告やクリエイティブの世界にハマっていったことを覚えています。

米国のクリエイティブ業界では、「説明できないものはよくない風潮」がありつつも、「説明できないマジック」のようなものも求められました。この右脳と左脳がミックスされた表現が自分に合っているなと思い、以来、キャリアを積んできました。

 

米国と日本のクリエイティブの違い

――米国と日本の広告文化についてよくご存知だと思いますが、国が異なることでのクリエイティブに対する考え方や価値観の違いはありましたか。

 文化や言語の違いによる思考の異なりが、クリエイティブや広告文化にもはっきりと表れますね。

英語圏のカルチャーはピラミッド型だと思います。頂点にブランドのコアな考え方が存在し、その下にタグラインとして商品カテゴリーが並び、またその下に靴や鞄など商品が振り分けられるという構図です。このように、コアなブランドアイデンティティのもと商品が位置づけられているのが英語圏の特徴です。

それに対して日本は逆ピラミッド型で、商品単体の広告が主軸になることが多く、ブランドのアイデンティティが見えづらい印象を持ちます。

例えば、NIKEには「Just do it.」というブランド哲学があり、テニスやサッカー、バスケットボールなどそれぞれのスポーツでそれをどう捉えるか、スポーツウエアやシューズにどう紐づけるか、細部にまでこだわり商品づくりが行われると聞きます。

一方、例えば日本の食品業界では、各商品にまで落とし込まれた統一したブランド哲学が見えづらく、各社の商品を並べたときに違いを説明しづらいということがあります。

「どちらがいい」というわけではないのですが、ブランドの捉え方やクリエイティブに対する価値観が違うのです。

日本人は物事を伝えるとき、結論は最後にとっておく傾向にあります。アメリカは反対で、先に結論を述べてから理由を説明する文化です。英語圏の人に対して日本語の筋立てで話していくと、結論に辿り着いた頃には話のほとんどは忘れられてしまう、といった事もあり、海外の方にプレゼンをするときは結論を先にするようにしています。お互いの言語構造を理解したコミュニケーションを取る必要があると実体験から学びました。

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