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人生100年時代により変わるビジネス人生の設計 #02

起業家しか生き残れない時代へ。情報革命により変わる企業と個人【デジタルシフトウェーブ 鈴木康弘】

成功しているネット企業の3つの特徴

 デジタルシフトの裏側には、技術の進歩があります。90年代にインターネットが登場して検索サイト、Eコマース、そしてスマートフォンが登場してきました。ここまでは、いわゆるネット企業が先行し、新たな市場をつくり上げてきました。

 2010年代に入るとクラウドサービスが本格化し、IOT、AI、RPAと新たな技術が生まれてきました。ここまで変化をしてくると、最近では、ネット企業だけでなく従来企業も本格的にデジタルシフトを模索してくるようになりました。

 従来企業は、今、積極的に先行しているネット企業から学ぼうとしています。成功しているネット企業には3つの特徴があります。第一に顧客志向であること、第二にテクノロジーの可能性を追求していること、そして第三に組織がフラットで、社内で多くのプロジェクトがアジャヤイルで推進されていることです。

 今、多くの従来企業がこの仕事の仕方を学び、取り入れようとしています。テクノロジーを積極的に活用するネット企業を「テック企業」と呼ぶことがありますが、近い将来には全ての企業が「テック企業」になっていると思います。別の言い方をすれば「テック企業」になれない企業は、生き残れない時代になるのではないでしょうか。

 このように企業が急速に「テック企業」へと変化していく時代、我々個人も大きな影響を受けることになります。
 

起業家が生き残れる時代へ

 「テック企業」というと、その名の通りテクノロジーをある程度は理解することが必要です。しかし、それはプログラミング、ネットワーク構築などITの専門家のようなことをすることではなく、「テクノロジーをどう活用するか」という視点であり、顧客中心でITの可能性を考える力です。

 すなわちこれから必要とされる人間は、顧客のニーズを把握し、ITの可能性を意識し、強いリーダーシップでプロジェクトをまとめ、実行できる人間が求められることになるでしょう。
 
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 まさに、起業家タイプの人間です。

 仕事柄、日々、多くの経営者の方々にお会いしますが、「社内で事業を興せる人がいない」「指示したことはできるが、自分から企画があがってこない」と悲痛な悩みを打ち明けられます。

 今までのピラミッド型組織の中で、分業体制で育った人間は通用しない時代になってきているのです。これからは、自らがビジネスを作れる起業家タイプが求められるようになるでしょう。自ら起業する人(アントレプレナー)も必要ですが、これから企業内においてもビジネスが創造できる社内起業家(イントレプレナー)が求められる時代となります。

 今、「人生100年時代」×「情報革命」というとんでもない大変革の時代に我々は生きているのです。この変化に対応していける企業は、多くはないでしょう。そんな中、我々個人は企業を信じていいのでしょうか。

 答えは「NO!」です。自ら個人でこの時代に対応して生き抜くことが必要です。会社のブランドに頼るのではなく、自分のブランドを持ち、磨きを掛け続けていくことが大切な時代になったのです。

 次回は、企業に頼らず自らのブランドを磨き続けていくにはどうすれば良いかについて考えていきたいと思います。

 
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