マーケターズ・ロード 鈴木康弘 #03
課長の自分が部長たちを前に「部長の人数を半分にする案」を提案【デジタルシフトウェーブ 鈴木康弘】
2018/08/24
- セブン&アイ ホールディングス,
- ソフトバンク,
- 企業経営,
- 組織改革,
- 人材育成,
新会社設立を提案し、社長に就任
その後、ソフトバンクがインターネットへの投資を強化する中で、僕のキャリアも大きな転機を迎えることになります。ソフトバンクと米ヤフーが共同で合弁会社ヤフーを設立し、1996年に立ち上げたポータルサイト「Yahoo! JAPAN」が大成功。その頃、僕は新規事業の企画を担当するようになっていました。
孫さんから「ソフトバンクの経営資源をすべてインターネットに集中する」旨が発表され、「良いアイデアがあれば持ってくるように」と、事業プランを積極的に提出するよう呼びかけられたのが、1999年1月の全社大会のことです。
そこで僕が企画したのが、書籍のECサイト「イー・ショッピング・ブックス(現 セブンネットショッピング)」でした。もともと、大の本好き。「インターネットで何かやるなら、売りたいと思うものを売ろう。本が好きだから、本を売ろう」と、実にシンプルな発想で考えた企画でした。
好きな本をインターネットで注文し、コンビニで代金決済と商品の受け取りを行い、希望に応じて宅配もできるサービスは、即採用されました。そうして、ソフトバンクを親会社とし、集客をヤフー、在庫・物流を出版取次のトーハン、商品受け取りと決済をセブン-イレブン(セブン&アイ・ホールディングス)が担う4社出資の合弁会社を立ち上げるという企画です。
提携するコンビニは、実は少し悩みました。と言うのも、当時の僕は、父との関係を積極的に明るみに出したくなかったのです。現に富士通時代、僕の父が鈴木敏文だと知っていた人は少なかったと思います。
しかし、諸般の条件を検討した結果、やはり業界トップのセブン-イレブンがいいだろうということに。そこで、かねてから面識のあったセブン-イレブンの情報システム部門の役員に、「実はこんな話があって……」とこっそり話を入れたところ、その日の夜に父から「お前、何あやしいことをやっているんだ!」という怒りの電話がきました(笑)。
交渉を経て、セブン-イレブン含む各社と合弁契約を結び、最終的な調整を終えたあと、出資企業のトップが一堂に会する場が設けられました。
孫さん、ヤフー 井上さん(故・井上雅博氏)、トーハン 上瀧会長(上瀧博正氏)、セブン&アイ・ホールディングス 鈴木会長、そして僕です。
みんな忙しく時間のないメンバーでしたので、ホテルオークラに朝8時集合です。孫さんがその場を取り仕切り、イー・ショッピング・ブックスの経営を僕に任せる旨を発表すると、父の第一声は「孫くん、こんなんでいいのか」と。
チクショーと思いましたね(笑)。帰りの車の中で、孫さんに「いつも、親父さん、あんな感じなの?お前、結構大変だなあ」と言われたのを覚えています。
<続き「Amazonにどう対抗するか? 逆境を超えるアイデア力でネットショッピング事業を黒字化」は27日(月)公開予定>
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