ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #08

2代目社長 新方針へ反発、出店取り止め。ドラッグストアチェーンのサツドラは、社内改革をどう進めたのか

若手が辞めない会社をつくるため、営業本部長に就任

富山 仕組み化に取り組んでいるときに、チェーンストア経営を推奨するペガサスクラブに参加しました。一店一店異なるお店にするという考えを持っていたサツドラは、入会はしていたものの何十年も幽霊会員だったのですが、僕も存在自体は知っていたし、ニトリが入会されていたという話を聞いて一度行ってみたいと考えたんです。

 ただ、チェーンストアにネガティブなイメージを持っていた当時の常務などからは「チェーンストア理論を学んだ会社は、全部潰れるんだ」と言われながら送り出されました(笑)。

田岡 参加してみて、どうでしたか。

富山 仕組みづくりや理論が、しっかりまとまっているということに衝撃を受けました。ただ、一番心に刺さったのは、チェーンストアが人々の暮らしを変えることに寄与するんだという、「チェーンストアの存在意義」です。そのチェーンオペレーションのあるべき姿を、当社と照らし合わせたときに、このままだと「本当にまずい」という危機感を覚えました。

 それまでは、時間をかけて会社を変えていこうと考えていましたが、もっと早く進めていかなければと思うようになり、その時点からは社内でぶつかり合いながら改革を推し進めていきました。

田岡 具体的に何をされたのですか。

富山 以前はハレーションの少ないところから変えていこうと考えていましたが、結局は根幹から変えなければダメだと思い、出店計画や店舗フォーマットをつくる営業本部から改革をしていこうと、営業本部長である常務に提案しました。



 実は当時としては、チェーンとして改革を進める以前に、若手が辞めない会社をつくりたいという思いがありました。小売業は人が辞めても当たり前といった雰囲気があり、エース級の若手バイヤーが辞めてしまうということも起きていたんです。
 
 でも、このままでは僕が経営者になったとき、戦力になる人がいなくなってしまう。僕としては現場が疲弊してしまう個店主義を脱却して、若手にサツドラに将来性を感じてもらいたいと思ったのです。常務や社長と激しく意見をぶつけ合った結果、常務が会社を去り、僕が営業本部長に立候補して、そこから本格的に仕組みづくりを始めていきました。

田岡 社長は、どう説得したのですか。

富山 常務が辞めてしまったということもありましたし、若手が辞めてしまうということに対する問題を話して、一刻も早く会社を変えていく必要性があることを訴えました。

 それでも30そこそこの若造がいきり営業本部長になるということに反対はあったのですが、それを強行に「やらせて欲しい」と。それが2011年ごろで、仕組みづくりを始めると同時に出店もやめました。

田岡 お話を聞いていると、富山さんが社内の誰よりも一番、危機感が強く本気で考えていたということですよね。

富山 そうですね。変えるということに関しては、私が一番本気だったと思います。
 

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