「マーケティング」という大海を、航海するための羅針盤 #13

DeNA今西流「副業」が自然と舞い込む人材になる3つのポイント

前回の記事:
人材が流出しない「いいマネジメント」を実現するための4つのポイント【DeNA 今西陽介】
 

普及する「副業」どういうスキルが必要?


 数年前と比較して、副業が随分と広がってきています。コロナ禍が2年ほど経過し、リモートワークという考え方が浸透したため、移動時間が減り、従来よりも時間が取りやすくなったという背景もあります。

 東京都の調査 では、テレワークの実施率(リモートワーク)は60%程度です。この調査からは、従業員数が多いほど普及していて、中小企業では浸透の余地がまだあることがわかります。副業も同様に浸透しているようですが、まだまだ社会全体から見ると、ごく少数だと思われます。私自身もいくつか副業をしており、日々色々な人から次のような相談を受けます。

「忙しそうなのに、よく時間ありますね? どうやって時間をつくっていますか?」
「どういうスキルが喜ばれるんですか?」
「副業を探す時は、どうしているんですか?」

 そこで今回は、こうした副業について興味を持っている人に向けて、「副業にどのようなスキルやマインドが必要なのか」、次の3つの視点から考えていきます。
 
1.時間のつくり方
2.求められるマインド、スキル
3.副業のご縁について

 ちなみに、ここまで「副業」という言葉を散々使っていますが、個人的にはあまり好きではありません。「副」である以上、当然「本」業があり、私でいえば本業はDeNAでの仕事です。そうすると、副業をされている企業側は、どうしても余った時間の一部を捻出されているような感覚になります。私としては本業と副業に関わらず「全力で結果を出す」という姿勢に変わりはないので、何かいい言い方がないのか日々考えております。無難な言い方では「兼業」がありますが、今回はわかりやすさを優先し、あえて「副業」という言い方で続けます。
 

1.時間のつくり方



 
 まず前提として、好きで副業をしているからといって、無限に働けるわけではありません。長時間労働を続けていると、いつの日か身体を壊します。また、皆さん基本的には本業の会社に許可を得て副業をしており、本業の労働時間外で働くというケースが多いかもしれません。ただし、本業の会社からすると、副業で働き過ぎて体を壊し、本業で出すべきパフォーマンスが出ないことは最悪です。

 全人類が1日24時間という同じ条件下で生きているので、この制約の中で時間をつくり出す必要があります。手っ取り早いのは、本業は定時で終えて、あとの時間を副業に当てることですが、本業が忙しい人も多く、現実には難しいかもしれません。ただし、ひとつ言えるのは、「本業で会社から求められる成果を効率よく出した上で、時間をつくることができる能力」が副業をする人の条件のひとつだということです。

 本業で成果を出さずにいい加減な状態で副業をしている人がいますが、この場合は、副業でも上手くいかないケースが多いように思います。副業でもリファレンスチェックが浸透し始めています。リファレンスチェックとは、企業が採用する際にその人と繋がりのある第三者の意見を聞くことを指します。そこで評判が悪ければ、副業の話自体がなくなります。一方で、副業先のチェックが効かずに、成果も出していないのにフィーだけを払い続けているケースも散見されますので注意が必要です。

 効率よく成果を出すためには、マネージャーレイヤーであれば、チームですることを意識して、自分の得意なことにフォーカスしながら、苦手なことはチーム内のメンバーでカバーするという意識が必要です。基本的には、マネジメントに注力し時間を捻出するのです。一方でプレイヤーは、会社と決めた目標(期待値)を超えるレベルの成果を出します。次は、その成果を効率よく上げられるように注力します。

 そうしてから副業をする時間をつくることが基本でしょう。いずれにしても、マルチタスクが得意な人であることも副業にとって大切な条件かもしれません。私は、副業は良い意味の気分転換だと思っています。本業だけに従事するよりも、違う視点が得られることが多いです。その視点を本業にも活かせられれば、全てのステークホルダーにとってハッピーな世界が生まれます。

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