ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #09

人に会い、話を聞くことでこそ、ビジネスの構想は練られていく【サツドラ 富山浩樹、ニトリ 田岡敬】

“知の探索”業務を水平展開へ

田岡 富山さんが現在、手がけていきたいと考えているのはどのようなことですか。

富山
 グループ会社が増え、人も増えたので、多様性を生かした次の組織づくりを今年のテーマとして考えています。社内でグループ会社も含めてすべてを把握しているのは僕しかいないので、まずは事業部や各子会社の意思決定などの権限委譲を整理したいですね。

田岡 これまで富山さんが一手に担ってきた“知の探索”業務も、今後はチームでできるようにしていくのでしょうか。



富山
 そうです。既存の人材にもそういう人が少しずつ出てきていますし、新しい事業の立ち上げによって新しい考えの人が入ってくるので、そこで生まれた交流からまた新たに知の探索といった要素が増えていくと考えています。

田岡 意思決定が分権化し、知の探索もみんなができるようになれば、富山さんご自身は次にどのような役割を担っていこうと考えているのでしょうか。

富山
 グループ全体のビジョンや目指す方向性を示していきたいと考えています。

 また、現在は優先度の高い案件がグループ内に多々あることが課題でもあるため、権限委譲しながらもグループとして重要な課題には手を入れていきたいですね。
 
田岡敬氏 対談をおえて
 富山さんが、創業者であるお父さまを動かし、社員を動かし、外部のパートナーを巻き込み、改革を進めていけているのは、誰よりも富山さんが一番本気で会社の将来を考え、危機感も一番強く持っているため、迫力が違うからだと思います。そのきっかけになったのは外部セミナーへの出席で、幕末の志士が外の世界に触れることにより尊皇攘夷派から開国派になったように、やはりインプットなくしてアウトプットなしですね。

 もともと何もないところから情報も人のネットワークもわらしべ長者のように広げていくやり方は非常に参考になります。ただし、それを行うには、そもそもの旺盛な好奇心、得た情報を編集加工(情報A+情報Bから新アイディアCを生む力)し、それにより情報提供側に回りお返しできる力、オープンで謙虚で明るい人柄が必要になります。

 新しいチャレンジは、その効果のインパクトの大小と実現難易度の大小で四象限に分類されます。富山さんがやられたように、難易度の低いところで早く実績を出し(クイックウィン)、組織からの信頼を得て、難易度が高くインパクトの大きいビッグチャレンジに挑むのが鉄則ですね。順番が重要です。
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