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常勝集団を形成した帝京大学ラグビー部の岩出雅之前監督「人を動かすには、自分が変わるのが鉄則」
よい関係をつくるためには、自分自身を変え、エネルギーにする
田中 岩出さんは150人のラグビー部員それぞれにとって最適なことを理解アプローチしていると思います。なぜ、世代の違う相手にそれができるのでしょうか。
岩出 人間は、変われる力があると思います。世の中がこれだけ変わっているので、自分自身も変わっていかないといけないといけない。この激動の世の中で生きてく上で、相手を変えることは簡単ではありません。そのため、自分自身が変わることがまずは大事だと思うんです。
そういうスタンスを持っていないと、部員といがみ合ったり、不愉快な関係のまま4年間が終わってしまいます。組織でよい関係をつくるためには、まずは自分自身を変えていくこと、そして利己を利他にしていくことが必要ではないかと思います。
田中 企業の中で50歳を過ぎると、定年目前ということもあり、自らイノベーションを起こそうとしない人が多い印象です。一方で、岩出さんは50歳を過ぎても常に進化されています(現在64歳)。その原動力はどこから来ているのでしょうか。
田中 安人氏
岩出 いろいろあると思いますが、もともと勝負事の世界にいましたから、負けず嫌いで、やっぱり勝ちたいという気持ちが強いですね、自分に負けたくない。また、人間って同じことを続けていると飽きるというのもあります。
私が担当している学生は、それぞれ魅力があるのでそれを開花させたいと思ったとき、指導者が教えるだけではなく、学生自身が気づく力や、変わっていく力が必要になります。いい意味で変わっていく力はとても大切ですが、変わっていく力を求めている私自身も変わらないといけません。
今、私がしていることが本当に正しいのか、伝えたことが本当に伝わっているのか、伝わっていないのなら、なぜ伝わらないのか。私の伝え方なのか、学生たちの物事の捉え方なのか。そして、彼らは社会の変化にどのような反応を示しているのか、その反応をどう生かしていくのかなど、いろいろなことをしっかり観察して、自分自身のエネルギーをつくり出して、意義あるものを目指していく必要があります。