変革のカギを握るCxOの挑戦 #03

DX推進の理想形、「DX銘柄2022」グランプリの中外製薬が成果を出せた秘訣とは?

 

DXが成長戦略に組み込まれたことで成果につながる


石戸 就任されてから、これまでの取り組みを通して、どのような成果が得られていますか。
    
パイオニア モビリティサービスカンパニー CCO & CMO
石戸 亮 氏

志済 2020年には、それまで取り組んでいたことの成果として、AI創薬に関する機械学習プログラムや画像解析、論文検索の仕組みなどが完成し、目に見える形で生産性が向上しました。また、製薬本部という生産部門のデジタル化にも着手しました。製薬本部では以前から、人海戦術になっている工場の間接業務をデジタル化したいという思いがありました。期初予算は確保できていませんでしたが、私たちも協力して経営会議での承認にこぎつけました。

ひとつの部門だけでは許可が下りにくいことも、大きなビジョンや戦略の中であれば、経営陣からの賛同が得られやすくなります。その後も、デジタルマーケティング、臨床試験など、各本部でフラッグシップ的なプロジェクトを立ち上げました。

DXの基盤づくりという観点では、2021年に中外デジタルアカデミーという研修を立ち上げ、社内でデジタルスキルサーベイを行い、ポテンシャルを持っている社員に教育を受けてもらっています。最近もアカデミーの第4期入校式が開催されました。また、デジタルイノベーションラボという取り組みでは、デジタル化に関するアイデアを募集し、これまでに応募が400件以上、PoC(Person to Consumerの略)を経て本番で稼働しているプロジェクトが10件以上に上ります。

「CHUGAI DIGITAL」を発表した翌年2021年には、中外製薬が新しい成長戦略「TOP I 2030」を発表しましたが、その戦略のドライバーのひとつにもDXが明確に位置付けられました。それがデジタル戦略推進部の最大の成果ですね。

石戸 どのようにして成長戦略に組み込まれることになったのですか。

志済 やはり、さまざまな部門で着実に成果が現れ、外部からもDX銘柄として評価をいただけるようになったことが大きいですね。社長自身も「会社として高い目標を達成するためには、デジタルの取り組みが欠かせない」と発言しています。デジタル戦略推進部が会社の方向性と違うことをしていたら、絶対に「TOP I 2030」には載らなかったでしょう。

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