変革のカギを握るCxOの挑戦 #04
組織の足並みは揃わないことが前提、中外製薬の志済聡子氏が語る全社でDXを成功させるポイントとは?
2022/09/01
全社として始めるのではなく、集まってきた人と始めていく
石戸 会社としてデジタル変革を成功させるためのポイントをまとめると何でしょうか。
石戸 亮 氏
志済 全社を動かすときに、全員のコンセンサスを得なければいけないと考えると、にっちもさっちもいかない状態になります。そもそも私の考え方として、組織の足並みはそうそう揃うものではないと思っているので、「この指とまれ」で活動に賛同してくれた人とまず始めた方がいいと考えています。
前半の話にもありましたが、最初に製薬本部とプロジェクトを進めて成功したら、営業本部からも取り組みたいという要望が出たように、組織の中で成功者が1人、2人と出てくると、他の部署も「私たちはどうするんだ?」と自分に問いかけるようになります。そこで賛同してくれる人を増やすために、面白いプログラムを取り上げたり、経営陣のコミットメントをとりつけ、まとまった予算を確保したりしながら、社員の好奇心をくすぐるように仕掛けていくことが重要です。
石戸 プロジェクトの雰囲気づくりは、大事ですよね。働くのは人と人なので、仲間やフォロワーが増えていくこと、内発的動機付けがとても大事ですね。
志済 そうですね。当社では、そこに経営陣もうまく乗ってきてくれるので「CHUGAI DIGITAL DAY」というさまざまな分野のトップサイエンティストやビジネスリーダーを講師に迎えて「ヘルスケア×デジタル」のトレンドを紹介するイベントを開催したりしながら、興味を持ってもらうようにしていますね。
石戸 最後に志済さんが大切にしている考え方を教えてください。
志済 社内だけのつながりではなく、社外とのつながりも大切にするようにしています。デジタル戦略推進部のメンバーにもよく言うことですが、社内だけでなく、社会でバリューを発揮できる人間になってほしいと思っています。
社内でこう話すと、「そんなことを言ったら、みんな辞めちゃいますよ」と言われますが、正直、それも致し方ないと思っています(笑)。古巣のIBMもそうでしたが、人財輩出企業(※中外製薬では、「人材」を「人財」という言葉で表現しています)と呼ばれて会社の外に出ても飛躍的な活躍をする人が多い会社でした。そうなることで、さらに優秀な人財に集まってもらえるのです。そういった意味で、中外製薬がさらに人財を輩出できる企業になれるといいなと思っています。
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