ドラクエ的マーケターキャリア調合術 ― スキルセット×マインドセット、それとちょっぴりの「運」 #03

転職の第一歩!自分の市場価値を把握するための「キャリアの棚卸しシート」を公開

自己評価を向上させるために、転職は必須か?

 ここまでで、これまで担当した業務の自己評価とその理由が明らかになりました。

 棚卸しの仕上げとして、その評価をどうしたらもっと上げられるかの施策を考えて見ましょう。

 例えば私のケースを単純化してお話すると、これまでのキャリアの中で「Yahoo!」的なインターネットポータルサイトのビジネスプロデューサーを担当したことがあります。映画や不動産、就職情報などさまざまなコンテンツの企画と企業プロモーションなど、メディアとしても収益面でも成果を出すことができました。

 ただ、日本のネット利用者増や企業のデジタルプロモーション予算の投下など、外部要因に助けられた部分がたくさんあったこともあり、個人的には自己評価が決して高くはありませんでした。

 何より、プロモーション的な業務を経験する中で、より包括的なマーケティング施策、デジタル以外のタッチポイントの施策・戦略立案のノウハウおよびスキルの不足を痛感することとなりました。

 それらをスキルセットとして入手するために別の環境で挑戦しよう――それが、私が当時の棚卸しで導き出した答えでした。
 
©123RF
 自己評価が高く、自らがより充実するために必要なことが現在の環境で手に入る可能性があるのであれば、現在の職場や自分の状況でできることを考えてシートに記載しましょう。

 同じ業種で働きながらマーケティングのスキル領域の幅を広げたい。同じマーケティング部署内の異なる部門への異動を希望できるのであれば、それもひとつの解となります。

 また、自己評価が低く(高い場合もある)、望むスキルや経験は違う業種や企業でしか手に入らないのであれば、それが転職の主な理由となります。
 

キャリア計画シート

 「棚卸しシート」がまとまったら、同時に今後のキャリアプランの計画を考えましょう。図表2を使って具体的なキャリアプラン、転職へのキャリアパスを描いてきます。



 まずは棚卸しの際と同様、どんな職種・業種を体験する必要があるのかをまとめていきます。そして次のキャリアで達成したい目標や理想の姿を、できるだけ具体的に描いて記載しましょう。

 先ほどの私のケースで言えば、「デジタル以外のマーケティングタッチポイントすべての統合戦略と実施施策経験を積む」といったものです(私の場合は、さらにそのすべてを束ねるコアとしてのCRMへのフォーカス、がありました)。

 さらに、自分がなぜその目標を設定したのかもまとめます。これは前提としての転職の理由づけにもなります。

 将来への検討でいずれの場合でも重要なのは、自分が次の環境に身を置いた際、その部署または企業に、結果としてどんな貢献ができそうかも、まとめておくことです。

 単に「何をやりたいか(得たいか)、そしてそのためにこの企業で働きたい」というのは、自己サイドからだけの理由です。企業側があなたを採用する理由となるのは、どんな貢献ができるかに他なりません。

 職務経歴書のコア部分の「経験」、そこから得られた「自己評価」や「評価基準」などのアピールポイント、それをどう活かし、企業側が求める将来の実績のために貢献できるのか――これらをしっかり見つめ直し、まとめておきましょう。

 たとえ今はそれが約束できなくとも、「このようなプランで実現する」というのが提示できれば、それもまた、明確かつ企業側にコミットすべき具体的な「貢献」アクションプランとなります。

 次回は、自分としてのさまざまな準備だけでなく、「外部ネットワークとのつながり」について触れながら、旅を進めていきたいと思います。


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