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マーケターズ・ロード 富永朋信 #01

元ドミノ・ピザ CMO 富永朋信氏がイトーヨーカ堂に入社 「小売業におけるマーケティングの可能性を追求したい」

 第一線で活躍するトップマーケターは、どのようにキャリアを歩み、その時々で何を考え、どう実行してきたのか。そして、その経験は次なるキャリアや現在の仕事にどのように生きているのか。

 西友、ドミノ・ピザ ジャパンなどで、マーケティング責任者を務めてきた富永朋信氏が9月、イトーヨーカ堂の営業本部長 補佐に就任した。その決断に込められた思いと、これまでのキャリアの中で得た学び、体系化してきたマーケティングメソッドについて語ってもらった(全7回)。
 
イトーヨーカ堂 営業本部長 補佐 
富永朋信(とみなが・とものぶ)

日本コダック(現コダック)、日本コカ・コーラ、ソラーレホテルズアンドリゾーツ、西友などでマーケティング関連の職務を歴任。日本コカ・コーラではiモードでコカ・コーラが買える自販機システム「Cmode」の立ち上げを担当。それ以来、「購買=ブランド選択+チャネル選択」という式の解を模索し続けている。西友では同社のイメージを一変させるキャンペーンを連発した。ブランドの構造はカテゴリによって違うことに気付き、全てのカテゴリのブランド構築に対応できる方法の開拓に頭を悩ませている。座右の銘はたくさんあるが、今のお気に入りは「過ぎたハンサム休むに似たり」「渾身のアイデアは全てを解決する」。
 

なぜドミノ・ピザ ジャパンを去るのか

 2016年に入社し、丸2年間にわたってCMOを務めたドミノ・ピザ ジャパンを、この6月で去りました。

 「Freedom within the Framework(枠組みの中における自由)」という言葉があります。

 大きな枠組みの中で守るべき考え方を決めることで、より自由にクリエイティビティを発揮できるということを表す言葉ですが、端的に言えば、さらにそういう仕事を突き詰めていきたいと思うようになったからです。

 僕は「ブランドという存在は、そう簡単に壊れない」という信念を持っています。

 一方で、一般的なマーケティングやブランドマネジメントの文脈では、「少しでもブランドのバリュープロポジションに抵触するようなことは危険であり、避けるべき」という意見が通ってしまいます。

 この考え方が、多くの企業で半ば“常識”になっていて、チャレンジングな戦略・施策が許容されにくくなっていると感じています。
 

店舗のオプティマイゼーションに取り組みたい

 次は、セブン&アイ・ホールディングスの中核企業のひとつであるイトーヨーカ堂で、営業本部長 補佐の任に就きます。

 営業本部は、イトーヨーカ堂の販売促進、仕入れ、店舗運営など、スーパーマーケットのビジネスにおける核を担う部門です。そのため、従来の小売業におけるマーケティングよりも幅広い領域を担当することになります。

 僕に期待されていることは、イトーヨーカ堂のビジネスを見て、マーケティングの観点から成長につながる機会を発見していくことです。そのために、まずは様々な部門とのミーティングに顔を出して、イトーヨカ堂の強みを発見していきたいと思っています。

 個人的には、顧客により良い体験を提供していくことを目指していきたいですね。そのために、イトーヨーカ堂の「USP(Unique Selling Proposition)」、つまり独自の訴求点を設計し、ブランドをつくり、それを店舗にまで落とし込んでいきたいと思っています。

 小売業のマーケティングは、ドミノ・ピザの前に勤めていた西友でやり切ったと思っていたのですが、ドミノ・ピザで仕事に取り組む中で、そうではなかったと気づきました。それは、顧客体験を提供する場としての店舗、メディアとしての店舗など、「店舗のオプティマイゼーション(最適化)」までは、踏み込めていなかったということです。

 一般的に、小売業のマーケティングとして、店舗に対してアプローチできることは什器のデザイン、顧客導線の設計、ターゲットの設定といった“箱としての店舗”が中心です。特に顧客体験においては、店舗スタッフが重要であるにもかかわらず、接客の領域までは踏み込むことはできませんでした。
 
出典:123RF
 今となっては、笑い話なのですが、ドミノ・ピザに転職後、私が顧客として店舗を訪れたところ、誰も接客に来ないばかりか、店員が奥に引っ込んでしまったんです。もし、そこがマクドナルドであれば、「いらっしゃいませ!」という声があり、レジではオススメの商品が紹介されたでしょう。

 では、なぜドミノ・ピザの店員は、接客ができなかったのか。
 
 それは、ピザ業界が10年前までデリバリーが中心で、テイクアウトを強化したのが直近5年ほどのことで、まだスタッフのメンタリティまでは変化できていなかったからです。

 ガラス張りの外観、クッキングスペースのシアター化など、テイクアウトにも対応した店舗づくりだけでは足りないと思い、そこからはフランチャイズ店舗も含めてスタッフの教育を強化しましたが、西友時代は人の行動を変えることには取り組めていなかったと思いました。

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