変革のカギを握るCxOの挑戦 #09

パーパスの実現と変革に必要なリーダーシップとは?日揮ホールディングス CHRO兼CDOの花田琢也氏が語る

 

パーパスや2040年ビジョンを策定


石戸 日揮は、2019年にホールディングス化しましたね。直近及び中期的な概況はいかがですか。

花田 ホールディングス化したタイミングで、先ずは日揮グループの将来を見据えて新たなビジョンを策定するために経営トップ主導で検討チームが発足されました。私もそのメンバーのひとりでしたが、その数カ月後にコロナが流行してビジネス環境が随分と変わりました。

先ずはSDGsが従来にも増して注目され、カーボンニュートラルが脚光を浴びるようになりました。この流れはある程度予測し、化石エネルギー中心のビジネスからの移行計画を準備しつつありましたが、想定よりも速く、大きなボリュームで押し寄せてきたので、中長期的なビジョンを早急に立ち上げる必要が出てきました。そして、1年半ほどかけて長期経営ビジョン「2040年ビジョン」を策定し、2021年5月にリリースしました。そのときに創ったパーパスは、日揮の歴史を振り返りながら検討を重ね、「Enhancing planetary health」( 「“人と地球”の健康は密接に関係しており、この2つを追求していくことで、豊かな未来を創っていく」)という言葉を掲げました。

我々日揮グループは90年以上の歴史の中で、エンジニアリング会社という起点。さらに日本の景気がよかった1960~1970年代に、日本の市場を抑えて海外に挑戦していったことが、2つ目の変革にあたりますね。そして、今まさに、我々が取り組んできたことを大きく変えていく時期を迎えたので、この新しいビジョンとともにグループ全体の変革が、昨年から始まっている状態です。

石戸 まだ始まったばかりかもしれませんが、具体的にどのような変革をしているのですか。



花田 日揮グループの変革は去年から始まっていて、3つのトランスフォーメーションがあります。先ずは、5つのビジネス領域を定めたトランスフォーメーション。2つ目は、EPC(Engineering:設計、Procurement:調達、Construction:建設)と言われるビジネスモデルから、新たなビジネスモデルへの拡張です。3つ目は、リージョナル経営のような、地域ごとにそれぞれの拠点が独立し存在する組織をつくることです。この流れの中で、JGCアジアパシフィックという新しい会社が2022年の1月に設立されました。

2040年までのスパンを、最初の5年を挑戦、その後の5年を収穫、その次を飛躍の5年と称して、中期的な計画をこれから展開していくところです。また日揮グループのパーパスを「Enhancing planetary health」と再定義しましたが、今日の組織の中でこれを知らない社員は誰もいませんし、日揮グループにとっては近く親しみやすい言葉だと思っています。

石戸 本日は、ありがとうございました。
   
対談終了後の花田氏(左)と石戸氏(右)
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