国境は地図の上にない、心の中にある #04

紙おむつ界の革命児「ムーニーマン」の開発秘話と、マーケティング思考の根本【元ユニ・チャーム 木村幸広】

 

世の中のトレンドに注目し、テープ型の紙おむつもシェアトップに


 ブランドマネージャーとしては、自分の担当商品の売上、シェア減少の理由を、ムーニーマンが成長しているせいにはできません。悪戦苦闘の結果、私はテープ型紙おむつの、新しいコンセプトを打ち出しました。

 それが「ムーニー パワースリム」という超薄型のおむつです。当時は薄型のおむつが世の中になかったので、お客さまにとっては全く新しい商品でした。そのため、結果的にテープ型紙おむつの中では、シェアを引き上げてテープタイプの中でナンバーワンになりました。

「ムーニー パワースリム」を開発するまでに取り組んだコンセプトづくりは数えきれません。劇的に何かを変えるためにはどうすればいいかを考え、世の中のさまざまな動きを参考にしました。

 世の中のトレンドを参考に、「薄型」ということに注目しました。当時、洗剤や柔軟剤、シャンプーなどのいろいろなカテゴリでコンパクト化が進んでいる時代だったので、私はおむつをコンパクトにすると、何がよいのかを必死に考えました。当時のオムツはまだ分厚くて、外出時に何枚もおむつを持っていると、それだけで荷物になるなど隠れた不満が眠っていました。

 この発想は、おむつのカテゴリを見ているだけでは、当然思い浮かばなかったアイデアだと思います。自分が担当していないカテゴリや領域で起こっていることが、お客さまにとってどのような意味があるのかを考えることで、自分が担当しているカテゴリにも活かせることがあります。そのため、世の中のトレンドに広く目を向けインプットや勉強することが重要だと思います。



 私が担当していた「ムーニー パワースリム」と「ムーニーマン」の2つの商品が伸びたことにより、ユニ・チャームのベビーグループの業績は回復していきました。劣勢であったテープ型おむつの「ムーニー パワースリム」の業績を回復させた成果が認められ、私はマーケティングディレクターとして、ムーニーブランド全体を担当することになりました。

 ベビーグループの業績回復やシェア獲得が実現できたのは、お客さまの困りごとを解決したからです。お客さまの困りごとを解決することは、ユニ・チャームの「NOLA&DOLA」というビジョンにつながります。自分でも気づいていないような隠れた困りごとに手を差し伸べるからこそ、お客さまから「この商品いいね」と評価され、購入してもらうことにつながるのです。

 そして、マーケティングディレクターのときに、ユニ・チャーム ベビーグループの海外進出計画を立てました。さまざまなデータから海外進出する国を決定しますが、特にひとり当たりのGDPが目安を超えたことと、紙おむつの普及が進んでいなかったことを理由に、タイへの進出が決まりました。ユニ・チャームには計画者イコール実行者、というポリシーがあります。『計画を作ったお前が行ってやって来い!』と私に声が掛かり、タイへの赴任が決まりました。
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