変革のカギを握るCxOの挑戦 #10

ライフネット生命 森亮介氏が34歳の若さで社長に抜擢された理由

前回の記事:
パーパスの実現と変革に必要なリーダーシップとは?日揮ホールディングス CHRO兼CDOの花田琢也氏が語る
  パイオニア チーフ・デジタル・オフィサー(CDO)石戸亮氏がマーケティング・DX・CX領域で活躍するエグゼクティブにインタビューし、その人が実績を出している裏側にある考え方を解き明かしていく連載。第5回は、2012年にライフネット生命に中途入社し、6年後の2018年に代表取締役社長に就任した森亮介氏が登場する。証券会社での経験をもとに同社では経営企画部に入り、将来はCFO(最高財務責任者)のキャリアを考えていた森氏が社長に就任した背景と、経営者として大切にしていることを中心に聞いた。
 

入社6年の34歳で社長に抜擢された「楽観的」なマインドとは


石戸 森さんがライフネット生命の社長に就任したのは、34歳のときですよね。28歳のときにファイナンスのエキスパートとして入社してCFOになるのかと思いきや社長に。その若さにも注目が集まりますが、入社して6年というスピード感もすごいですよね。
  
ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長
森 亮介 氏

 その年齢とスピード感で任せようと思った、当時の経営陣の判断がすごいですよね。私もいずれCFOを目指したいと思って入社しましたが、途中から営業部門を管掌する機会を得た際に、チーム一丸となって営業責任を果たしていく役割に面白さを見出して、入社時に描いていたキャリアの展望が大きく変化したんです。

石戸 何が評価されて、トップを任されたのでしょうか。

 年齢に特別な意味はなかったのかもしれませんが、我々のお客さまは20~40代の子育て世代が中心で、私はそのど真ん中だったこともあるかもしれません。当時の社長をしていた岩瀬大輔さんは42歳でした。若くてお客さまに近いリーダーがこれからのライフネット生命をリードしていく必要があるとの強い想いを持っていたのではないかと推測しています。それに加えて、私のほうが事業を楽観的に考えていたからという理由もあったのではないかと思っています。

石戸 楽観的ですか。楽観的とは、具体的にどういうことですか?

 はい。「私たちの事業はこの規模まで拡大するだろう」というビジョンが岩瀬さんよりも私のほうが大きかったと思います。私も社長という立場になった今だからわかりますが、自分よりも高い到達点を目標に掲げて仕事をしている社員がいたら、岩瀬さんと同じ気持ちになるだろうなと思います。

石戸 なるほど。経営者と話していても楽観的というキーワードは、あまり聞く機会がないので驚きました。会社の長期的なビジョンや売上目標をポジティブに考えることを「楽観的だ」と捉えているということですよね。
   
パイオニア チーフ・デジタル・オフィサー(CDO)
石戸 亮 氏

 そうですね。もちろん目先のことを考えると、いろいろと悩ましい問題はありますが、マーケットを構造的に捉えると、オンライン生命保険というビジネスは自然と伸びていくと考えていました。そのため現在のポジションにいることが、非常に有り難いと本当に思います。

石戸 経営者になると、楽観的とは真逆な感情を抱く人が多いと思いように思います。

 そうですね、「何か起こったらどうしよう」「こうなったらどうしよう」などリスクばかりを考えてしまいがちで、私自身もそのような気持ちになることがあります。でも、それはあくまでもリスクシナリオなので、メインのシナリオに対しては楽観的に捉えるようにしています。

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