変革のカギを握るCxOの挑戦 #10

ライフネット生命 森亮介氏が34歳の若さで社長に抜擢された理由

 

主体的に事業をドライブしたいと入社を決意


石戸 改めて、森さんのご経歴をお聞きできますか。
  
ライフネット生命に入社前の経験を語る森氏

 ライフネット生命に入社する前、2007年に新卒で大手証券会社に入社しました。私が大学生だったときは、日本で大型のM&Aが起こったり、大物投資家などが話題になっていたりした時期でした。大企業の買収の裏には、それを仕掛けている人がいるという事実を知り、「こういうビジネスパーソンになりたい」と憧れを抱いたことを覚えています。私も裏方として大型案件を取り仕切るような仕事がしたいと思って入社しました。証券会社では5年半にわたり、生命保険会社も含む金融機関にM&Aなどのアドバイスをしていましたね。

当時、ライフネット生命は、2008年の開業後の4~5年間の業績が順調だったこと、戦後初の独立系生命保険会社だったことから非常に有名でした。創業者である出口治明氏と岩瀬大輔氏の2人が頻繁にメディアに出ていた姿を見ていましたね。

石戸 ライフネット生命に入社したのはいつですか。

 私が入社したのは、ライフネット生命が上場してから半年ほど経った2012年9月です。上場の目論見書に「調達した資金の一部で海外展開する」と記載されていたことに興味を持ちました。

生命保険は事業が急速に拡大する際に多額の成長資本を必要とするビジネスモデルでもあるため、ライフネット生命に入社すれば、資金調達から海外展開まで当事者となって関与できるのではないかと思ったことが転職の動機です。

証券会社では多くの場合、スポットのアドバイザリーとしてプロジェクトに関わっているため、ひとつの案件が終わってしまうと、別のプロジェクトに移ることになります。さまざまな企業の案件に携われるのはよい面もありますが、その後の経営については、連続的に携わることができないという物足りなさがありました。そのため、次のキャリアでは、自らが惚れ込んだ会社でじっくりと腰を据えて、自分の力試しをしてみたいと考えていたんです。

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