変革のカギを握るCxOの挑戦 #11

ライフネット生命 森亮介氏は、苦しかった時期をどう乗り越えたか

 

「失われた30年」ではなく「失った30年」


石戸 森さんが会社の経営や変革をしていくうえで、大切にしていることはありますか。

 組織の中で「自分がこの車のドライバーだ」という主体性がすごく大事だと思います。私には忘れられない言葉があります。それは平成の30年間をよく「失われた30年」と言われたりしますが、その言葉自体を主体性のない表現だ、と言っている人がいました。

石戸 「失われた」というと、受動的ですね。

 そうなんです。正しくは「失われた30年」ではなく、「失った30年」なんですよ。裏を返せば、自分たちが違う選択と行動を取っていれば、失わずに済んだかもしれない30年間ということです。他人のせいにせず、自分が何かできたはずだ、という感覚が大切だと思います。

私も一人の生活者として、こんな保険の体験がしたい、自分の子どもが大人になったときにこんな保険の体験をしてほしいと思うことはありますが、その理想と現状のギャップは誰かが解決をするんです。しかし、誰かが解決するのであれば、ライフネット生命がその主体であってほしいと願います。我々が変えるのだと思うことで、すごく前向きになれるし、やるべきこともクリアになり、変革に対して迷いはなくなります。

石戸 なるほど、主体性をもって自分がこの車をドライブさせること。ワクワクしますね。

 主体性をもった人が多く、そのようなカルチャーが強いですね。社内では、入社してから「こんな制度が欲しい」、「こんな福利厚生を導入したい」などの社員の声は積極的に取り入れています。中には、それって本当にいいんですかと質問をしてくる人もいますが、組織の中で主体性をもって行動するメンタリティがすごく大事だと思うんです。

これは社外に対しても同じだと思っていて、少しリスクだと思うことでも、その一歩を踏み出すことのできるか、できないかは大きな分岐点です。不満を言うことは簡単ですが、それではもったいないので、主体性をもって社内外問わずDIYすることが大事ですね。

石戸 本日は、ありがとうございました。
   
対談後の森氏(左)と石戸氏(右)
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