国境は地図の上にない、心の中にある #07

インド市場の開拓、その裏側を元ユニ・チャーム 木村氏が語る

 

アジアを中心にグローバルマーケティングを展開


 日本に帰国後は、グローバルマーケティング本部の初代本部長として2年半ほど働きました。その期間は、全世界を対象に全ブランドのマーケティング責任者を務めました。

 それまでユニ・チャームは、事業本部制を採用していました。たとえば、ベビー事業本部、サニタリー事業本部というように商品カテゴリーごとに部門を分け、それぞれにマーケティング部が存在していたわけです。それらを全社でひとつにまとめたのがグローバルマーケティング本部でした。


 
 組織を変更した背景には、海外市場に力を入れ、真のグローバル企業を目指したいという狙いがありました。日本は少子化の影響で、ベビーカテゴリーの売上がすでに減少傾向にありました。さらに、生理用品や大人用おむつを使用する人口の減少も見込まれていました。

 そのような状況下で、日本以外のマーケットをどのように拡大していくかが、重要テーマとなっていたのです。「主にアジアを中心に拡大させる」というのが高原豪久社長の方針です。その当時、ユニ・チャームが進出していた国は、当時の参入国は韓国、台湾、中国、タイ、サウジアラビア、オランダ、などでした。

 私は本部長に就任後、現地のマーケターへの教育や戦略についての議論などを通して、シェアを広げる国をひとつずつ増やしていきました。「教育」という表現は、一方的に上から下に教えるという印象を抱かせ、おこがましいと感じるかもしれません。実際は、お互いに学び合うフェアな関係でしたが、わかりやすいので一旦、教育と書かせてもらいました。

 私が本部長を務めていた2年半で、ユニ・チャームの海外構成比は大きく拡大し、シェアナンバーワンを獲得する国が増えました。特に中国での成長はすさまじく、非常に良好な業績を収めました。一方で、その状況に満足せず、海外売上比率をさらに高めるために次の新市場としてインドへの進出を決めたのです。

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