変革のカギを握るCxOの挑戦 #14
金融からファッションへ。異色の経歴を持つZOZO廣瀬文慎COOが挑むファッションDX
「対話」を通して、現場との信頼関係を築く
石戸 廣瀬さんは着実に結果を出している印象ですが、逆境はありましたか。
廣瀬 やはり、ブランド営業の本部長になったときが一番の逆境でしたね。私はすごくファッションに詳しいというわけでもないので、異動した当初はファッションに詳しい現場スタッフとの軋轢やギクシャク感は間違いなくありました。
石戸 そこから現場やお客さまとの信頼関係はどのように築いていったのですか。
廣瀬 現場のメンバーとは、とにかく「対話」を行うことをひとつの大きなテーマとしていました。今でもそうですが、お互いを理解し合う、一人ひとりと話すということを非常に重視したんです。私はファッションのことを現場メンバーほどわからないかもしれないけれど、数字面などで現場をサポートするというように、お互いの足りない部分を補完し合える関係を築いていきました。
もうひとつ、現在ZOZOのファッションのシンボリックな存在でファッションチアリーダーという役職に就いてファッション業界を応援する活動を行う武藤貴宣が、当時の私の上司でした。「ファッションチアリーダー」は、武藤の経験やノウハウを必要としている企業などからの相談や依頼に対して取り組む、ZOZOの中でもユニークで珍しい肩書きです。その彼が現場からもブランド様からも、当時から一目置かれている存在だったので、私は数字面でサポートし、二人三脚で取り組むことができたのも大きかったと思います。
石戸 なるほど。先ほど、ブランド営業部門には100人ほどのメンバーがいたという話でしたが、そのメンバーとの「対話」はどのように行ったのですか。
廣瀬 懇親会のランチもしましたし、メンバーとの1on1も1年に1回くらいの頻度で全員と実施していました。また、私の人柄や考えを知ってもらうためにも、積極的にコミュニケーションを取っていきました。
石戸 100人だと、それだけでも大変ですよね。
廣瀬 そうですね。正直、時間も取られますし、体力的に疲れる部分もありました。ただ、メンバーに私の人柄や考えを理解してもらっていると、私が何かしらの音頭を取ったときに付いてきてもらいやすいと思ったんです。