国境は地図の上にない、心の中にある #11

ユニ・チャームのLTVは顧客が感じる「満足度の総和」、人口減少の日本で誕生した大人用おむつ「ライフリー」の秘話

 

「ライフリーリハビリパンツ」に確信を持った瞬間


 もともと日本では、高齢者が立って下着を履くと転んで骨折など怪我をするリスクがあるという意識が強く、寝かせたままのほうがよいとの認識がありました。そういったこともあり、テープタイプのおむつを使っている人が多かったのです。その「寝かせきり」の常識が「寝たきり」の原因を作っていました。しかし、我々はその考えに一石を投じ、「もう一度、自分の力で頑張ってトイレに行き、寝たきりゼロを目指しましょう」と提唱したのです。

 当時、俳優の滝田栄さんを起用した1分間のドラマのようなテレビCMを制作しました。実際に自分で歩行が難しい高齢の男性モデルにも出演してもらい、リハビリパンツを着用して撮影をしたら、なんとそのモデルさんが撮影の現場で実際に自分で歩くことができるようになったのです。

「もう一度、自分の力で頑張ってトイレに行き、寝たきりゼロを目指しましょう」と、私たちが目指していたことが実際に起きたので、担当チームは「これは成功する!」と「ライフリーリハビリパンツ」に確信を持った瞬間でした。
 

社会復帰のきっかけにもなるライフリー


 その後、リハビリパンツよりも軽いうす型軽快パンツも発売しました。大人用紙おむつを選ぶ際には、使う方のお身体の状態や生活リズムなどに合わせて最適なタイプを選ぶことが大切です。

 ユニ・チャームではリハビリパンツを使用する前に、洋服のラインにひびきにくく下着のような感覚で履ける「下着の感覚 超うす型パンツ」を履く、そして紙パンツを履く抵抗感のある方に洋服のラインにひびきにくいナプキン形状の「ライフリーさわやかパッド」をおすすめするといったように、ご本人にとって最適な商品を使うことを啓発してきました。

 それは、お客さま自身もそうしたいからです。「本当はこうしたい」と願うお客さまの思いをユニ・チャームの商品を通じて実現し、使い方やお客さま自身の生活まで含めて応援することが、我々のできることです。リハビリパンツやうす型軽快パンツなどの商品を使わないことが理想であっても、使わないことが難しいのであれば、一番快適なものを使って楽しい生活を送りましょうと促してきました。

 本当はバスや飛行機に乗って長時間の旅行に行きたいのに、失禁が怖くて外出できない人も、いざというときにカバーしてくれるパンツがあるから、どんどん出掛けてくださいと提案ができます。自分の運動能力を把握し、それに合わせた生活を送ることも大事ですが、ライフリーのサポートによって楽しく生活しようという前向きな気持ちはもっと大事で社会復帰のきっかけになります。
  

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