マーケターズ・ロード 富永朋信 #07
ドミノ・ピザや西友でマーケターとして成果を出せた背景には、“言語化”する力があった【イトーヨーカ堂 富永朋信・最終回】
言葉の力で、周囲を動かす
西友やドミノ・ピザで手がけたキャンペーンが世の中で大きな話題になったのは、もちろん一定の予算規模を持つ企業だったからというのは間違いないでしょう。同じことをやっても、予算規模が小さければ、話題は極めて限定的なものになったと思います。しかしそれ以上に、自分の考えや感覚を言語化する力を鍛錬し続けてきたことの成果が、ようやく表れた結果なのではないかとも感じています。
日本コカ・コーラでCmodeに携わっていたとき、僕は自販機メーカーがデザインした「次世代自販機」への違和感を説明することができず、それゆえプロジェクトは暗礁に乗り上げかけたことがありました。それ以来、自分の考え・感覚を言葉にすることを、徹底的に訓練してきたのです。
いまや「言葉にすること」は、僕の最も得意とすることになりました。
広告会社や部下とのミーティングでは、「いま何を実現したいのか」を、アリの入り込む隙間もないくらいきっちりと説明することができますし、広告会社からの提案に対して「この提案はいい。なぜなら…」とロジカルに説明することができます。
考えを言葉にできると、何が起こるか。
成し遂げたいことを実現するために、どれくらいのジャンプが必要なのかが見えてくるのです。必要な飛距離がわかれば、自分でアイデアを出すこともできるし、周りの人にアイデアを出してもらうこともできる。
奇抜なアイデアが先にあるというよりは、課題設定やフィードバックを緻密に言語化することで、いろいろな人をインスパイアすることができ、それが他にないインパクトのある施策につながっているのです。
今後も、これまで培ってきたキャリアを生かしながらも、「言葉にすること」を大切にして、イトーヨーカ堂での挑戦を楽しんでいきたいと思っています。
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