変革のカギを握るCxOの挑戦 #16

オルビス小林琢磨社長が語る、マーケティング責任者に求める3つの力

 

お客さまと実際に会って顧客解像度を高める


石戸 現在のマーケティングを取り巻く環境は移り変わりが激しく、現場も大きく変わっていますが、一方でずっと変わらないこともあります。それを踏まえて、小林さんにいろいろと聞いていきます。ひとつ目のテーマは、「マーケティング責任者に求める人材像」です。どのように考えていますか。

小林 大きく3つあります。ひとつ目は顧客解像度が高いことです。ひとつ目の顧客解像度については、たとえば広告会社とのやりとりにおいて、期間や予算、獲得したい顧客数などの要望は出しているのに、「お客さまが誰か」という重要なポイントを話していないケースが多いのです。

2つ目はP/L(損益)に対する責任を持ち、投資対効果を考えられることです。P/Lに対する責任についても、たとえば、お客さまをひとり獲得する費用が1500円だと示した理由を聞くと、使える広告費を目標獲得人数で割ったと回答してしまうことがあります。お客さまのLTVを算出し、いつの段階で回収するのかなどを考えていないのです。「難易度が高い新規事業だから、このくらいのLTVを想定して1年かけて回収する」と話すなど、本当の意味での投資対効果を考えられることが基本ですね。3つ目は、組織づくりができることです。
  

石戸 2つ目の顧客解像度を高めるために、どのような行動が必要でしょうか。

小林 それは2つあります。まずは今回のネプラス・ユーのテーマでもある「現場力」という観点で言うと、お客さまに会うことです。当社はお客さまイベントを頻繁に開催しており、経営陣の参加が必須です。お客さまと会って話す行動を自然にできるようになることが重要ですね。

もうひとつは、お客さまが購入した「本当の理由」を知ることです。アンケートなどをとっても、人で本当のことをなかなか言いません。たとえば、私がいま着ている「このTシャツをなぜ買ったのか」と聞かれると、「デザインが好きだ」や「手持ちの服と合うからだ」とか答えますが、本当の理由は「好きな女性にモテたいから」かもしれません。でも、それはアンケートには書かないですよね。根源的なニーズや欲求を明らかにすることで、マーケティングの質が上がると思います。

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