変革のカギを握るCxOの挑戦 #17

前期比26.6%増、破竹の勢いで伸長するYogiboのリテール×IT戦略【取締役 CFO 小猿 雄一氏】

 

一つひとつの着実な積み重ねが、爆発的な成長の足掛かりに


石戸 2022年7月期の売上高が、前期比26.6%増の212億円と非常に好調です。その要因は何でしょうか。

小猿 体験していただければ良さがわかる商品なので、リアル店舗を展開すればECの売上も増加する可能性があることがわかっています。そのため、3カ月間くらいのポップアップストアの出店を繰り返しながら、着実に店舗数を積み上げてきました。マーケティングやオペレーションのテストをひたすら繰り返して、種まきをしてきたイメージです。

石戸 テストの過程で、いろいろな指標を見てきたのですね。

小猿 そうです。その上で、売上が良い店舗区画で長期契約するなど、出店計画も慎重に取り組んできました。

石戸 店舗を出すとECの売上が伸びるとおっしゃいましたが、OMO(Online Merges with Offline)を意識して展開されてきたのでしょうか。
  

小猿 そうですね。OMOとしては、しっかりとデータを見るように意識しています。たとえば以前、池袋にポップアップストアを出店したら、埼玉地域のEC売上が伸びたのです。西武沿線に住む人が池袋のポップアップストアで商品を体験して購入してくれたことがわかりました。

石戸 店舗が、広告になるみたいな感じですね。

小猿 そうです。ただ、売上全体のうち、店舗購入し持ち帰られるお客様が約75%です。さきほどお伝えした通り、店舗で体験してECで購入するお客様もいますが、今はショッピングモールへの出店が多いので、車などで持ち帰りする人も一定数います。

石戸 売上高が200億円に到達するまで、ここでスパークしたなというタイミングはありましたか。

小猿 2020年のコロナ禍による巣ごもり需要の影響は大きかったです。それと、コロナ禍になる前の2019年8月頃にも、マーケティング用語でいう「キャズム(市場で商品を普及するときに超えるべき障害)」を超えて、明らかに売上が伸びたタイミングがありました。大きなプロモーションは何も打っていなかったので、消費者や市場に受け入れられた瞬間がきたなと思いました。

石戸 そのときは、PRチームが仕込んだりしていたのですか。

小猿 いえ、何も仕込んでいませんでした。当社はインフルエンサーマーケティングなども、基本的に取り組んでいません。木村は「インフルエンサーが使いたいと思うような商品にすることが大事だから、そのためにはブランド力を高めないといけない」とよく言っています。

石戸 商品やサービスを本当に良くして、結果的に使ってもらえたらいいということですね。

小猿 そうです。当社がテレビCMに起用させていただいたタレントの指原莉乃さんやYouTuberのはじめしゃちょーさん、お笑いタレントのかまいたちさんなどもYogiboの愛用者です。当社の商品を自身のYouTubeチャンネルで取り上げてくれたので、「感謝」の気持ちを込めてテレビCMのオファーを出しました。

石戸 その流れは理想的ですね。

小猿 はい、特に狙っていたわけではなく、結果的に良い流れになったなと思います。
  

石戸 お客様によってYogiboに感じる価値は異なるとは思いますが、Yogiboが消費者に提案する価値は何でしょうか。

小猿 製品の機能として、「リラックス」や「チル」という要素はあると思いますが、同じような機能を持つ商品はたくさんあります。それ以外のプラスアルファでいうと、「Yogibo」というブランドなのかもしれません。

よくSNSでは、「Yogiboみたいなものを買った」というフレーズが見られます。その裏側を捉えると、「Yogiboを買いたかったけれど、高かったから買えなかった」だと思うのです。

Yogiboを持つこと自体がおしゃれでクールだと思われている。Yogiboを持つことでそういったステータスを得られることが、もしかしたら我々が真に提供する価値かもしれないですね。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録