変革のカギを握るCxOの挑戦 #18

ファイナンスの経験がないYogiboのCFOが語る、「最初の一歩目」を踏み出すことの大切さ【取締役 CFO 小猿 雄一氏】

 

Yogiboの生地を活かしてBtoBビジネスの展開も視野に


石戸 今後のYogiboの成長にCFOというポジションからどのように貢献していきたいと考えていますか。

小猿 管理系の枠を越えたアクションを起こして、貢献したいと思います。私はもともとマーケティングやセールスなどのフロントサイドにいました。そのため、管理を強めなければいけない場面も、そこの事情を汲んで融通を利かせられるように落としどころを探りながら、組織の強みを発揮できるようにしたいと思っています。
  

石戸 上場を果たして、ある程度組織づくりが落ち着けば、今度は管理系ではないポジションでの貢献もできそうですね。

小猿 そうですね。やはり私は事業提携や事業開発などが好きですし、すでにYogiboとして新たな商品展開も考えています。

たとえば、我々の商品カバーの生地は縫い方がとても特徴的で、いろいろな形状ができるようになっています。この生地を使えば世界中のいろいろなキャラクターのぬいぐるみをつくれるはずなので、生地メーカーとしても事業を拡大していける可能性があると思っています。日本はアニメやキャラクターなどのコンテンツが強いので、そのIP(知的財産)ライセンスを獲得して、生地メーカーとしての市場も取っていけると面白いと思います。

石戸 現在はBtoCでのビジネスですが、BtoBとしてOEMや技術のライセンスを売るといった展開も有り得そうですね。

小猿 はい、さまざまな可能性を秘めていると思います。
 

とにかく一歩目を踏み出すことが、CFOとしての役割


石戸 小猿さんがリーダーとして大切にされていることを教えていただけますか。

小猿 変革していく中で重要だと思っているのは、「最初の一歩目」を踏み出すことです。私はCFOのバックグラウンドがないので、基本的にわからないことだらけですが、とりあえずお願いされたことを受け取って一歩目を踏み出せば、あとは勝手に進んでいくと思うのです。

石戸 新しいことを始めるのに、一歩目を踏み出すのは難しいですよね。

小猿 そうです、簡単ではありません。ただ、その一歩目を踏み出すか出さないかが重要だと思いますね。私はCFOという立場で働いていますが、金融などの知識や経験は何もなかったので、さまざまな人と話しているときに知らない言葉が出たときに、しっかりと「知らないです」と言えるようになりました。

「知らない」ということの怖さはあると思いますが、多くの人が丁寧にわかりやすく話してくれて、それを聞くとどんどん話が理解できるので、素直に伝えることが大切だと思います。
  

石戸 最後に、経営者の立場からするとCFOとしての経験がない小猿さんに任せることは不安もあると思いますが、そこはなぜ任せられていると感じていますか。

小猿 おそらく2つ理由があると思います。ひとつは、代表取締役社長/CEOの木村誠司がそもそも任せるスタンスなのです。まずは任されたら受け入れるようにしています。そして、私が舵をとり一歩目を踏み出すんです。とりあえず、巻き取ってしまったほうが物事は早く進みますし、停滞すると社内でも「これは誰がやるの?」という空気になりますが、私はその空気が苦手なんです。

石戸 そうなんですね。社長も任せるし、小猿さんもしっかりと受け取ることが重なっているんですね。

小猿 はい。また、私は知らないことやわからないことがあれば、木村とすぐにミーティングを組んで聞くようにしています。もうひとつは、これまで企業として健全な経営を行なってきたので、さまざまなことにチャレンジしていけるんです。

もしお金に困っていた場合は、社長がコミットしなくてはいけませんが、ある程度余裕があれば社長は任せることができるのです。この2つがCFOとして経験のない私が任せられている理由だと思います。

石戸 貴重なお話をたくさんいただきました。本日は、ありがとうございました。
  
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