国境は地図の上にない、心の中にある #12

ユニ・チャームの退職後、ペットビジネスに大きな可能性を感じた背景

 

人とペットが幸せに暮らせる社会をつくりたい


 人とペットが幸せに暮らせる世界をつくりたいと思っていた彼は、事業の可能性を探して、ある日インドを訪れます。所得水準が上昇しているインドはペットの頭数が急増する一方で、小動物の医療を担う獣医師の不足が深刻化していました。

 日本では犬、猫などのペット診療に従事する獣医師数は、直近の農林水産省のデータによると約1万5000人(※1)です。犬・猫の頭数は約1600万頭(※2)なので、獣医師1人が約1000頭を診療する計算になります。

 一方で、インドの犬、猫など小動物のペットを診ることができる獣医師は、約5000人(※3)しかいないにも関わらず、2030年には犬と猫が約8100万頭(※4)に達すると予測されています。獣医師が不足しているインドでは、ペットに充分なケアができません。この状況を現地の獣医師も問題視していることを知った彼は、インドで動物病院を開院することを決意したのです。

 その話を聞きながら、私はインドに駐在していた頃のことを思い返していました。インドでは日本の常識が一切通用せず、住む場所を借りたり、工場をゼロからつくったりするときに大変な経験をしたからです。奥田代表も同じような苦労を経験し、それを乗り越えて動物病院を立ち上げたことに深く共感しました。

 また、アルダのパーパスである「Pet to Partner ~人とペットが幸せに暮らせる社会をつくる」は、私が長く働いたユニ・チャームが目指している社会とも一致していました。そこでCMOとしての参画を決意したのです。
  

※1 農林水産省<小動物診療獣医師数及び小動物診療施設数の推移>
※2 一般社団法人ペットフード協会<2022年(令和4年)全国犬猫飼育実態調査 結果>
※3 A’ALDA推定
※4 ジェトロ(日本貿易振興機構)<インド初、外資系動物病院がオープン>  

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