特別対談
中小企業にマーケティングの可能性を広めるコミュニティを設立【インタビュー:髙口裕之×北原規稚子】
2023/10/18
- 人材育成,
マーケティングの知識とノウハウを幅広く企業に伝えることを目的としたコミュニティ「マーケティングギルドコミュニティ(MGC)」が2023年10月、国内で活躍する複数のマーケターが主体となり設立された。コミュニティの初期メンバーとして参画している、はなまる チーフマーケティングオフィサー(CMO)の髙口裕之氏と、資生堂ジャパン マーケティングリレーション本部 本部長の北原規稚子氏が、現在のマーケテイングの役割と可能性などについて語った。
マーケティングは社会を救う価値提供ができる
―― ここ数年、企業内でのマーケティングの重要性が高まっています。現在のマーケティングの役割やマーケターのポジションについて、どのように考えていますか。
髙口 日本は中小企業やオーナー企業がとても多い国です。また、人口減少により、成長しづらい産業が増えています。そうした中では、ただ単に良い商品・サービスをつくるだけでは十分でなく、マーケティングの本質的な考え方を捉え直すことが重要になります。
企業の中でマーケティングを率いているCMOは、自らの知見や経験をひとつの企業に留めず、さまざまな中小企業に還元し、貢献できる可能性を秘めています。そして、そのノウハウをうまく吸収できた企業は、より効果的な活動ができる可能性が拡がります。そのような想いから、今回マーケティングの知識を広めるマーケティングギルドコミュニティ(MGC)を設立しました。
はなまる チーフマーケティングオフィサー(CMO)
髙口 裕之 氏
ミツカンにてみりんやたれカテゴリーのブランドマネージャーなどを歴任し、食酢カテゴリーのマーケティングを統括。食品マーケティングコンサルタントなどを経て、日系PEファンド投資先のフードレーベルセールス 代表取締役社長に就任し、投資回収に成功。その後、米系PEファンド投資先であったおやつカンパニーCMOに就任し、同社投資回収後、2023年8月より、はなまるCMOに就任。 bfj(株)、(株)SAKUSEN TOKYO社外取締役、(株)Asobica、(株)ドゥ・ハウス、(株)AROOWS顧問、名古屋王者(株)非常勤CMOなども務める。
髙口 裕之 氏
ミツカンにてみりんやたれカテゴリーのブランドマネージャーなどを歴任し、食酢カテゴリーのマーケティングを統括。食品マーケティングコンサルタントなどを経て、日系PEファンド投資先のフードレーベルセールス 代表取締役社長に就任し、投資回収に成功。その後、米系PEファンド投資先であったおやつカンパニーCMOに就任し、同社投資回収後、2023年8月より、はなまるCMOに就任。 bfj(株)、(株)SAKUSEN TOKYO社外取締役、(株)Asobica、(株)ドゥ・ハウス、(株)AROOWS顧問、名古屋王者(株)非常勤CMOなども務める。
北原 私自身のマーケティングの経験や、社内外のマーケターの先輩方から教えてもらったことをもっと多くの企業にギフトとして循環させたいと思っています。
人の心を動かすようなマーケティングやブランディングを実現できれば、世の中の良い商品やサービスを広く知ってもらうことができます。少し大袈裟に聞こえるかもしれませんが、マーケティングを通じて社会を良くし、救うような価値提供ができると信じています。
資生堂ジャパン マーケティングリレーション本部 本部長
北原 規稚子 氏
ライオンにて営業、 ビューティーケア分野のブランドマネージャーに従事した後、 資生堂にてTSUBAKI、ELIXIR、 MAQuillAGE等のブランドマネジメント、 メイクアップ部門のVP、副CMO、 マーケティング本部長を歴任。ゼロからイチの価値を創り出すブランディングを強みとし、 ブランドパーパス実現、 ブランドのプロポジション強化につながる戦略やエグゼキューショ ンを常にリードしてきた。 アート& サイエンス発想でマーケティング成果を最大化する組織づくり、 人材育成にも従事。現在は資生堂でのマーケティングに加え、 フリーのブランドクリエイターとして、 化粧品業界以外のブランディング、コンセプト開発、 マーケティングのサポートも兼務。
北原 規稚子 氏
ライオンにて営業、 ビューティーケア分野のブランドマネージャーに従事した後、 資生堂にてTSUBAKI、ELIXIR、 MAQuillAGE等のブランドマネジメント、 メイクアップ部門のVP、副CMO、 マーケティング本部長を歴任。ゼロからイチの価値を創り出すブランディングを強みとし、 ブランドパーパス実現、 ブランドのプロポジション強化につながる戦略やエグゼキューショ ンを常にリードしてきた。 アート& サイエンス発想でマーケティング成果を最大化する組織づくり、 人材育成にも従事。現在は資生堂でのマーケティングに加え、 フリーのブランドクリエイターとして、 化粧品業界以外のブランディング、コンセプト開発、 マーケティングのサポートも兼務。
マーケティングの可能性を広げたい
―― マーケティングの力を社会全体に広めていくということですが、日本においてマーケティングがビジネスの標準スキルになるためには何が必要でしょうか。
髙口 まずは、大企業と中小企業の間にあるマーケティングの知識、理解のギャップを埋めることです。大企業であれば、マーケティングの専門部署がしっかり機能している傾向にありますが、中小企業になるとマーケティングの専門部署が存在しないだけでなく、その考え方が根付いていないところがほとんどです。そのため、大企業をはじめ様々な企業を経験しているCMOクラスと中小企業が協力しあい融合するような場が大切です。そのような場を提供していきたいと考えています。
北原 マーケティングを取り入れていない企業は、体系だった戦略構築やブランディングのフレームワークなどがなく、属人的にされているかと思います。また、「ブランドとは何か?」という共通理解、共通言語がなく、デジタルマーケティングやデータマネジメントなど狭義な話と混同され議論がしにくい、ということもある気がします。このような状況を踏まえ、企業がマーケティングの力を最大限に自走して活用できるようにインストールするような支援が必要だと感じでいます。
―― 最後にマーケティングを取り組んだことがない企業に対してのメッセージをお願いします。
北原 今はマーケティングの可能性やメリットに気づかずに取り組んでいない企業の方々にも、まずは名も知られぬ良い商品やサービスにマーケティングの力が加わることで、世の中に価値がある、意味があるものとして広まった事例に触れ、知っていただくことから貢献できればと考えています。
髙口 日本には素晴らしい商品やサービスが溢れていますが、消費者からすれば、まだまだ認知が低い場合や、価値を理解してもらえていないことも多いでしょう。そういった企業にまずはマーケティングと気軽に接点を持っていただけるような環境を築いていければと思っています。