ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #10

シリコンバレーのベンチャーキャピタリスト宮田拓弥が、投資先を決めるために実践している情報収集術と思考法【聞き手:ニトリ田岡敬】

信頼関係を築くために意識していること

田岡 宮田さんは、なぜ多くの人と信頼関係が築けるのでしょうか。

宮田 僕が常に意識しているのは、その会社の中のことはその人以上には分からなくても、業界のことは必死に勉強して、その人が知らない、気づいていない視点を伝えてあげるということです。

 これは投資も同じで、経営者が見てきた視点とは違う角度からアドバイスできるかが最大のポイントだと考えています。

田岡 では、初めて会うときは、事前にしっかり準備されていくのですか。

宮田 はい。何を言うかというキーワードを決めています。それが相手にはまれば、面白いと思ってもらえるんです。

田岡 最後に、アジェンダノートを読んでいるビジネスパーソンに対して、アドバイスをお願いいたします。

宮田 僕はすごく楽観的で、基本的にはビジネスや事業については、チャンスしかないと思っています。例えば、ニトリが創業した50年前は、家具を売りたいと思えばお店を構えて、お客さんに足を運んでもらうことではじめて商品が売れました。しかし今は、アプリをつくれば世界中30億人以上の人からアクセスしてもらえる可能性があります。これだけ消費者との距離が近い時代に、挑戦しないのはもったいないです。

田岡 そうしたチャンスは、年齢に関係なくありますか。

宮田 もちろんです。なので、僕は今すごく健康に気を遣っています。絶対に100歳までは生きるつもりなのですが、何歳まで仕事をできるかはとても大事ですよね。99歳までフレッシュに仕事をして、いきなり死にたいです(笑)。

田岡 健康の秘訣は、あるのでしょうか。

宮田 僕の得意技なのですが、成功したことも失敗したことも全て忘れてしまうので、過去を引きずらずに、次の新しいチャレンジができるということでしょうか。

田岡 その感覚は、分かります。僕もあまり過去のことは、覚えていないタイプですね。成功も忘れた方が、バイアスがなくなり、正しい判断ができると思います。今日は、ありがとうございました。
 

田岡敬 対談をおえて

書籍『イノベーションのジレンマ』で有名なクレイトン・クリステンセンが、スティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾスなど500人のイノベーターにインタビューして書いた『イノベーションのDNA』という本があります。

この本では、インプットを関連付けて思考して革新的なアイディアを出すことが重要と書かれていますが、宮田さんはまさにこれを地で行っていらっしゃいます。インプットを上げるには、質問力、観察力、ネットワーク力、実験力が重要とあり、宮田さんはどれも網羅的に実践されていらっしゃるようにお見受けします。そしてスキル以前の問題として、イノベーションに取り組む勇気(現状に異議を唱える、リスクをとる)が前提であるとあります。とても良い本だとおもいますので、よろしければぜひご覧下さい(Amazonはこちら)。
 
書籍「イノベーションのDNA」(翔泳社)より作図
 シリコンバレーをよく知る宮田さんが、日本のベンチャー業界に明るい見通しを持っていらっしゃるのに勇気付けられました!
 
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