変革のカギを握るCxOの挑戦 #21
15歳起業で注目を集めたレシート買い取りONE 山内奏人氏、22歳のいま考える経営戦略
これからのマーケティングには「インタラクション」が必要
石戸 WEDが提供するお金がもらえるお買い物アプリ「ONE」は、企業に対してマーケティング情報を提供するビジネスですよね。データプロバイダ、あるいはサービスプロバイダという視点から、現在のマーケティングをどのように捉えていますか。
「ONE」は、アプリ内でユーザーのレシート写真 および 各種画像を買い取ることで、様々なデータを収集している。ユーザーからは、今まで捨てていたレシートがお金に変わるというインパクトから、メディアでも話題を集めているサービスである。「ONE」を通じて収集した購買データベースを活用して、企業のプロモーションやマーケティング活動に活かすことができる
山内 マーケティングは、我々の存在と密接に紐づいています。最近、WEDという会社を外部の方に説明するときは「インタラクションの会社」と説明しています。ぼくたちの解釈として、インタラクションとは、人間が何か環世界上の何かに対してアクションを起こしたときに、何らかのフィードバックが得られることを指しています。
そして「ONE」をつくった背景には 、レシートを撮影したらお金に変わるという今までなかったインタラクションを実装したいという思いがありました。それを元に従来の体験とは少し異なるアプローチを取る事業の実現を目指しています。
マーケティングにおいても、今の時代にはインタラクションの視点がすごく求められていると考えています。なぜならば、現代は一方通行のメディア的な表現が非常に多く、ユーザーや消費者との双方向性があまりないんです。双方向と言われるSNSの広告も、企業が発信したことをユーザーが受け取るだけになってしまっている例がほとんどだと思うんです。
その点「ONE」は、商品を購入することでレシートを手に入れ、それをカメラで撮るとお金がもらえるという特別な体験を通してユーザーが商品のブランドをより意識するようになるんです。つまり「ONE」はユーザーとの双方向性によって、ブランド認知を向上させているんです。
石戸 なるほど。興味深いと思ったのは、マーケターはメディアやチャネルを認知の獲得や顧客へのリーチ、販促といった目的のためのツールとして捉えがちです。しかし、山内さんは、その手前にあるはずのユーザーとのインタラクションに目を向けているということですね。「ONE」は、手前のユーザーとのインタラクションと、認知の獲得や顧客へのリーチ、販促といった目的を一本の線でつなげるというイメージでしょうか。
山内 そうです。利用するユーザーからすれば、結局はすべて同じなので、明確に販促のツールをつくろう、ブランディングのツールをつくろうと思っていたわけではありません。結果的に、企業の販促やプロモーションなどさまざまなニーズに合わせて使われているので、そこに幅広く対応できるのが「ONE」だと思います。
石戸 使う企業によっては、いろいろな目的や解釈はありますが、基となる考え方には、インタラクションが大事だということですね。
山内 そうですね。おそらく基本的にはデジタル広告も、すべてにおいてインタラクションが大事なアプローチだと思うんです。認知や販促なども同じですが、ユーザーからすれば商品やサービスを含めた広告など、すべてのタッチポイントは顧客にとって同じなので、常にインタラクションを意識してプロダクト開発からプロモーションなどに取り組んでいます。