変革のカギを握るCxOの挑戦 #21
15歳起業で注目を集めたレシート買い取りONE 山内奏人氏、22歳のいま考える経営戦略
生成系AIなどのツールを全社員に提供、まずは使ってみる
石戸 ここ数年、老舗企業では、デジタル化やリスキリングに対して企業をあげて取り組んでいます。私からすれば、デジタルスキルやプログラミングの学習はインターネットで今日からでも無料でできるのに、なぜそこまで仰々しく掲げなければならないのかという違和感があります。
小学4年生のときに、山内さんがプログラミングを始めた経緯は、莫大なコストをかけてリスキリングに取り組もうとする老舗企業の動きとは真逆だと思います。企業が新しいことに取り組みを始めることに関して、山内さんはどのように考えていますか。
山内 やはり、始めることに対して難しく考えすぎだと思います。ぼくがプログラミングを始めたときは、誰から言われたわけでもなく、遊びの延長でした。当社のデザインチームのメンバーはさまざまなツールがすごく好きで、遊びとして映像や3Dモデリングなどをつくって実験しています。それが、結果的にプロダクトや広告のグラフィックにも活きているんです。
仕事中でも「ちょっと触ってみよう」「使ってみよう」という行為が許されるべきですし、趣味の延長のような部分に対しても会社がどんどん応援すべきだと思っています。もともとプログラミングは、その延長上にあることがすごく多いですからね。
当社でいえば、Googleが提供している生成系AI「Google Bard」やコーディング支援AI「GitHub Copilot」を全社員に提供し、業務中に使えるようにしています。ツールの活用支援は積極的に行っていますね。
石戸 なるほど。大手企業では、新しいツールの活用には何らかのリスクがあるのではないかと尻込みしてしまうケースが多いのですが、そこはどう感じられますか。
山内 最初はリスクがあるかどうかもわからないですし、まず使ってみないとそのリスクを感じることもできないわけです。企業としては、とりあえず使ってみて、どこにどのようなリスクや問題があるかを調査するというスタンスをとるべきだと思っています。もちろん、顧客情報の漏洩につながりかねない部分など、企業責任としてきちんと締める必要があるとは思います。
石戸 確かに。まずは使ってみて、リスクがありそうかを調べるというスタンスはいいですね。うまく活用できれば、そのスピードは競争力にも関わってきますからね。
※後編「ミッションを策定しない」と決めた天才エンジニア、独自の視点で築いた組織カルチャー【WED 代表取締役 山内奏人氏】に続く
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