国境は地図の上にない、心の中にある #14

グローバルマーケティングの実態、アジア市場への挑戦に必要なパーパス【A’ALDA(アルダ)CEO 奥田昌道】

 

ペットが真のパートナーとなり、不安のない社会を創る


木村 最後に、これからのアルダが目指すところについて、お聞かせください。

奥田 「Pet to Partner~人とペットが幸せに暮らせる社会をつくる」というパーパスのもと、いろいろな企業と手を組んで事業を大きくしたいと考えています。ゆりかごから墓場まで、すべてを自社でカバーするのは時間がかかるので、ペット保険であれば保険会社、フードであればフードメーカーなど、各領域を専門とする他社と連携していきます。

最近では、ペット産業に未参入の企業ともタッグを組んでいます。たとえば、ライフスタイル領域の事業展開を見据えて野村不動産様と資本業務提携をさせていただき、「住宅×ペット」の領域を伸ばしていこうとしています。

ただ、何年後に何店舗を開院するなどの目標はあえて立てていません。なぜなら、数年後がどうなっているかは誰も予想できないからです。近年のChatGPTの進化や動画生成AIなど、誰が予想できたでしょうか。仮に2年後、急激な技術革新によってAIですべての診断ができるようになったとしたら、診断はAIに任せて、治療のみを専門に行う店舗があればよくなり、現在のような診断も行う病院の数を増やすことの価値は薄れていきます。

こういった変化の激しい中では、基本的には全力で我々のパーパスである「Pet to Partner~人とペットが幸せに暮らせる社会をつくる」を追求していきます。機動的に動くためにデジタル軸やグローバル軸はベースに保ちつつ、いま取り組んでいる事業に全力を尽くすのみだと考えています。

ゆくゆくは、犬や猫と暮らしている我々自身の不安がひとつもない社会になればいいなと思っています。私自身、たくさんのペットと一緒に暮らしている中で不安がまだまだあるので、それを解消していく事業を展開していきたいと思います。

木村 ありがとうございます。私はマーケティングという側面から、これまでの経験をもとにアルダの事業に貢献していきたいと思います。

奥田 最後に一点、伝えておきたいことがあります。ペットは、約1万年前から使役犬として使われていたといわれています。平たく言えば人間の幸福度を上げるためのパートナーであり、もともと真のパートナーだったはずです。

現在でも真のパートナーですが、その捉え方としてただ単に「かわいがる」という価値観に社会は寄っているような気がしています。ただ、人間の幸福度を高めるためには、いかにペットを真のパートナーとしての存在であるべきかが重要で、それを実現する社会インフラがいまはありません。そのため、私はそれを創りたいと考えているので、さまざまな事業に取り組み続けていきます。

木村 「Pet to Partner~人とペットが幸せに暮らせる社会をつくる」というパーパスのもとに、グローバル市場で挑戦するマーケティングについてお伺いしました。奥田さん、本日はありがとうございました。
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