ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #13
Googleやマッキンゼーで学んだ、事業拡大に必要な考え方【ピンタレスト・ジャパン 定国直樹 聞き手:ニトリ田岡敬】
ここまで来られたのは、すべて人の縁だった
田岡 定国さんは、マッキンゼーやGoogleを経て、Pinterestに入社しています。仕事選びで大切にされていることはありますか。定国 私は、テクノロジーで世の中に、何かしら良いインパクトを与える仕事をしたいという思いを強く持っています。新卒入社したのは、ヤマハ発動機。エンジニアとしてロボティクスや人工知能などの基礎研究をしていました。テクノロジー好きということは、一貫していますね。
定国 直樹(さだくに なおき) 京都大学の電気工学課程で学士号、修士号を取得。南カリフォルニア大学でMBAを取得。新卒後にヤマハ発動機に入社。マッキンゼー&カンパニーでコンサルタント、グーグルでプロダクトマーケティング統括部長などを経て、2013年10月、ピンタレスト・ジャパン 代表取締役社長に就任。
田岡 ヤマハ発動機から、どのような経緯でマッキンゼーにいかれたのでしょうか。
定国 ロサンゼルス赴任中に、マッキンゼーからMBA取得者をスカウトする手紙を受け取ったんです。サンフランシスコで説明会が開催され、飛行機代も出るということでしたので、家族を連れて観光しようというくらいの軽い気持ちでした(笑)。7回ほどの面接を重ねて、ご縁があって入社しました。
田岡 その後は、マッキーゼーを経て、Googleにいかれたわけですよね。
定国 はい、コンサルタントから事業側に移ろうと、次のキャリアについて悩んでいたとき、マッキンゼーからGoogleに入社した友人が「こんな仕事あるよ」と紹介してくれました。彼からの提案がなければ、Googleには入社していませんでしたし、現在のPinterestにもつながっていません。振り返ると、人の縁は大事ですよね。
Pinterest。多くのSNSは、情報がフィードに流れていくフロー型だが、Pinterestは情報を集め保存していくストック型という要素が強い。
過去の経験で役立っていること
田岡 マッキンゼーやGoogleで得た経験のなかで、現在のPinterestでの仕事に役立っていることはありますか。定国 もちろん、あります。マッキンゼーでは、事業全体を俯瞰して問題を包括的に捉える力が身に付きました。また、優先順位を決めて、リソースをどのように配分するのかという判断方法も学びましたね。
Googleでの一番の学びは、事業の成功のためにはクロスファンクションでビジネスを押し上げていく必要があるということです。私は入社当初は、Chromeブラウザのプロダクトマーケティングを担当していたのですが、誰も使っていない状況からシェアを伸ばすことができました。それは、ビジネスディベロップメントの担当者が家電量販店やOEM企業とパートナーシップを構築し、マーケティングやPR担当者がサービスの認知を広げて、プロダクト開発担当者が機能を改善させるなど、全てのファンクションが絡み合っていたからです。その実体験が、現在の仕事のベースになっていると思います。
それに、ヤマハ発動機では、海外赴任を経験させてもらいました。当時の先輩からは、海外で働くことの“いろは”を教えてもらいましたね。
田岡 “いろは”とは、どのようなものですか。
定国 私が海外で最初に住んだ国は米国ですが、日本人のような“あうんの呼吸”は通じません。日本であれば、その場の雰囲気で何となく理解してもらえることがありますが、米国では、何事も明確化しないと前に進みません。ありきたりですが、価値観や考え方が違う人たちの中で、事業を推進していくために、常に確認を取りながら進めていくことを学びました。
田岡 なるほど。定国さんのビジネスパーソンとして強みは何だと、ご自身では思われますか。
田岡 敬 氏
ニトリホールディングス
上席執行役員 リクルート、Pokemon USA, Inc. SVP、マッキンゼー、ナチュラルローソン 執行役員、IMJ 常務執行役員、JIMOS(化粧品通販会社)代表取締役社長を経て、現職。ニトリのデジタル戦略を担当している。
ニトリホールディングス
上席執行役員 リクルート、Pokemon USA, Inc. SVP、マッキンゼー、ナチュラルローソン 執行役員、IMJ 常務執行役員、JIMOS(化粧品通販会社)代表取締役社長を経て、現職。ニトリのデジタル戦略を担当している。
定国 そうですね。私は、新しいテクノロジーをマーケットに定着させて、世の中がよりハッピーになるように常に考えています。そして、それを実現するために、引くべきレバーを戦略的に考えられる点が、得意かどうかは置いておいて、好きですね。