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足立光氏 新刊『即戦力!』に寄せて 「マーケターこそ、最速で成果を出すべき職種」
2026/02/04
日本を代表するマーケター・経営者である足立光氏の新刊『即戦力! 転職、転勤、出向、異動するときに読む本』(ダイヤモンド社)が2月4日に刊行された。5年ぶりの新刊のテーマは、マーケティングの手法や考え方ではなく、「転職・転勤・出向・異動などの際に、いかに早く確実に成果を出すか」。P&Gジャパン、日本マクドナルド、ファミリーマート、シュワルツコフ ヘンケルなど8社を渡り歩いてきた自身の経験を踏まえ、キャリアの異動や移行を成功させるためのポイントをまとめた。
新刊発行に際して、アジェンダノート編集部は、著者の足立氏にインタビューを実施。本書を執筆した背景にある問題意識や、本書で示された「7つのステップ」との向き合い方、そしてビジネスパーソンの中でも特にマーケターが本書を読むべき理由などについて聞いた。
新刊発行に際して、アジェンダノート編集部は、著者の足立氏にインタビューを実施。本書を執筆した背景にある問題意識や、本書で示された「7つのステップ」との向き合い方、そしてビジネスパーソンの中でも特にマーケターが本書を読むべき理由などについて聞いた。
- 新刊の発行を記念し、足立氏による「特別キャリアセミナー」を
3月19日(木)19:00-21:30 都内にて開催します。(参加費無料、50人限定)
詳細・お申し込みはこちらをご覧ください。
日本のビジネスパーソンが、グローバル標準のスピードで成功するために
ー 本書は、特にどんな方に読んでもらいたいと考えて書かれましたか。
サブタイトルにもある通り、「転職・転勤・出向・異動」といった、いわばキャリア上の転機を迎える方を想定しています。これらは多くの場合、自分の意志とは関係なく訪れるものですよね。逆に言えば、「ずっと同じ会社にいる」「ずっと同じ部署から動かない」という方は、本書の想定読者ではありません。
もうひとつの軸は、「行った先の新しい環境で、できるだけ早く結果を出したい」方です。異動あるいは転職しても「マイペースにやっていきたい」という方はあまり対象ではありません。環境が変わったときに、少しでも早く結果を出し、ステップアップしていきたい。そういう方が、本書のメインターゲットです。
ここで言う「早く」とは、具体的には「(新しい環境で)1年目から何らかの成果を出す」ことを指しています。私の周りにも、転勤や転職を何度も経験してきた人は多くいましたが、「最初の1年は勉強期間です」と言う方が意外と多かったんですよね。外資系企業での経験が長かったこともあり、私はそこに強い違和感を覚えていました。
仮に3年で一定の成果を出そうとするなら、1年目に方向性を明確にして、できれば小さな成功をいくつか形にして方向性が正しいと証明する。そして2年目で大きな変化を起こし、3年目にその成果が形になる、という時間軸になります。そう考えると、1年目を「勉強期間」としてアクションを起こさなければ、当然2年目には何も起きません。1年目から、小さくてもいいので方向性を示すような成果を出し、2年目に大きな一手を打つ。そのくらいのスピード感を前提としています。
なぜ「3年」なのかというと、日本の大企業では、社長は50代後半から60代というケースが一般的ですよね。一方、外資系企業では40代前半、場合によっては30代後半で社長になる人もいます。一般社員からそこまで上がっていこうとすると、2年に1回、遅くとも3年に1回は昇進していかないと間に合いません。「40代で社長」が当たり前。そのスピード感で動かないと、グローバルでは勝てないのです。そこを、日本のビジネスパーソンにも目指してほしいなと考えています。
足立 光氏
ファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター、CMO(兼)マーケティング本部長、CCRO(兼)デジタル事業本部長。P&Gジャパン、シュワルツコフ ヘンケル社長・会長、日本マクドナルド上級執行役員・マーケティング本部長、ナイアンティック シニアディレクター等を経て、2020年10月よりファミリーマートのマーケティング責任者に就任。2024年3月より、デジタル事業を含む新規事業も統括。ノバセルの社外取締役、スマートニュースやコープさっぽろのマーケティング・アドバイザーも兼任。『圧倒的な成果を生み出す「劇薬」の仕事術』(ダイヤモンド社)等、著書多数。オンラインサロン「無双塾」主宰。
ファミリーマート エグゼクティブ・ディレクター、CMO(兼)マーケティング本部長、CCRO(兼)デジタル事業本部長。P&Gジャパン、シュワルツコフ ヘンケル社長・会長、日本マクドナルド上級執行役員・マーケティング本部長、ナイアンティック シニアディレクター等を経て、2020年10月よりファミリーマートのマーケティング責任者に就任。2024年3月より、デジタル事業を含む新規事業も統括。ノバセルの社外取締役、スマートニュースやコープさっぽろのマーケティング・アドバイザーも兼任。『圧倒的な成果を生み出す「劇薬」の仕事術』(ダイヤモンド社)等、著書多数。オンラインサロン「無双塾」主宰。
ー グローバル標準のスピード感で成功していくために必要なことが、本書にまとめられているのですね。本書で示されている「7つのステップ」の中でも、特に重要な3つ(①仮説を持つ、②仲間をつくる、③段階的に戦略を実行に移す)について、あえて優先順位をつけるとすれば、どれに比重を置いて取り組むべきでしょうか。
優先順位はありません。なぜなら、これは「順番」だからです。
そもそも仮説がなければ、「何をすべきか」というアイデア自体が生まれません。そうすると、「仲間をつくる」にしても「何をするための仲間なのか」が曖昧になります。「こういうことを実現したいから、こういう人たちに応援してほしい」という方向性があって初めて、仲間づくりが成立するのです。
「段階的に戦略を実行に移す」のも同様で、「あそこへ向かいたい」「これを実現したい」と言う方向性があるからこそ、小さな一歩から始めて、少しずつ大きくしていくことができます。すべてが連動しているので、どれかひとつ欠けても成立しません。
仮説がないまま仲間づくりをしようとしても、「こんなことがしたいんです」と話す中身が空っぽでは上手くいきません。また、方向性が定まらないまま強引に事を進めようとしても、行き当たりばったりになり、結果として良い成果にはつながりません。だから結論としては、「全部必要」なんです。
ー 「7つのステップ」としてまとめた事柄の重要性には、いつ頃気づかれたのですか。キャリアの初期の段階からすでに意識されていたのか、それとも後年になってたどり着いた考え方でしょうか。
さまざまな試行錯誤を経て、今の形に至っています。最初に強く意識するようになったのは、1996年に海外赴任した頃かもしれません。ビジネスが低迷している状態で、いきなりまったく知らないメンバーの中に放り込まれ、日本人は自分一人、という環境で結果を出さなければならなかった。そこから「どう動けば結果が出るのか」を真剣に考えるようになりました。
それ以前は、同じマーケティング部内で担当が変わる程度でしたし、上司も変わらず、環境の変化は限定的でした。しかし、突然まったく違う場所に置かれて「結果を出しなさい」と言われたものだから、どうしたらいいのか本気で考えざるを得なかったんです。
その後、コンサルティング会社(ブーズ・アレン、ローランド・ベルガー)で働きましたが、そこでは「悠長に勉強している時間」などありません。たとえば、サプライチェーンの経験がほとんどない私に対して、「来週、大手電機メーカーの調達担当役員とサプライチェーンの会議があるから、準備してきて」と言われるわけです。コンサルなので、初日から状況をある程度理解した上で「御社はこうすべきではないか」という仮説を持って臨まなければ話になりません。また、外資系企業(シュワルツコフヘンケル等)では、新しく事業部長や社長になったら、3ヵ月後には新しいビジネスプランを提出する必要があります。そういうスピード感が「普通」の環境で仕事をし続ける中で、「7つのステップ」が確立されていきました。
私と同じようなキャリアを歩んでいて、かつ早く結果を出したいと考えている人は、皆さん近い感覚を持っていると思います。実際に異動や転職をして、すぐに成果を出す人は、おそらく同じ考え方で動いているはずです。
必要なのは「経験」ではなく「実績」
ー 足立さんがこれまで経験された8社の中で、本書の原則を実行するハードルが高かったケースについて、その要因とともに振り返っていただけますか。
ドイツに本社を置く多国籍企業のシュワルツコフヘンケルでは、もともと大きな赤字だった事業を黒字化し、成長させる仕事を3回ほど経験しました。日本のドラッグストア向け事業、美容室向けのプロフェッショナル事業、そしてそれを東南アジア向けに展開する事業です。特に東南アジアでは、日本的な「阿吽の呼吸」は通用しませんし、車通勤が中心なので仕事後に飲みに行く文化もありません。仲間づくりや、人として信頼してもらうこと自体がとても難しかったですね。
仮説は持っていたものの、情に流されてしまったことも何度かありました。たとえば、社内からの強い要望で出した新製品が上手くいかなかったという経験があります。あまり売れ行きの良くない商品の新バージョンとして準備されたものだったのですが、土台ができていなければ、そのバージョン違いが上手くいくはずはありません。理屈では分かっていたのですが、私が入社する前から準備されていたもので、「頑張って準備したので出させてほしい」と言われ、了承した結果、返品の山に……。義理人情は大切ですが、仕事の判断に感情を持ち込んではいけないと、改めて痛感しました。
また、日本のアパレル企業では、入社1年目から非常に大きな改革プロジェクトを経営会議に持ち込みました。論理的には完璧に近く、条件もすべて揃っていたのですが、十分な根回しをしていなかったため否決されてしまいました。正直、びっくりしました(笑)。そこは、論理じゃないんですよね。日本企業では、意思決定のプロセス自体が重要であり、その会社のやり方に沿っていなかったのが“敗因”だったといえます。こうした多くの失敗経験も重ねながら、7つのステップが形になっていきました。

ー 本書には、小さくともスピーディに「成果」を出すことが重要と書かれています。やるべきこと・やったほうがいいことはたくさんある中で、「何で(どのようなプロジェクトで)」成果を出すのが効果的か、その見極めのポイントはありますか? よく「センターピンを見つけることが大切」とおっしゃる方もいらっしゃいますが。
実は、あまり「見極めた」ことはないんですよね。インパクトが大きいかどうかよりも、「将来的にこうしたい」という方向性に沿っているかどうかのほうが重要です。その方向性に合っているのであれば、インパクトは小さくても構わないと考えています。
たとえばファミリーマートでは、「コミュニケーションを強くする」という課題がありました。入社直後から、比較や対立構造を使った、かなり強いコンセプトの施策を次々に展開しました。それぞれ、一定の売上効果はありましたが、いわゆる「大ヒット」ではありません。ただ、「このやり方で売れる」という確信が得られたことで、その後の展開につながっていきました。
考える軸としては「フィジビリティ(実行可能性)」と「サイズ・オブ・プライズ(成果の大きさ)」の2つがありますが、まず重視すべきはフィジビリティです。すぐに着手できそうなこと、自分や少人数で進められ、あまり多くの人を巻き込まなくてもいいこと。そうしたテーマから取り組むのが重要だと思います。
1年目に「これがセンターピンだ」と見極めるのは、結構難しいです。入社して半年~1年以内に、相当なスピードで動いて、小さくても周囲に認められる成果を出しながら、見極めていくのが現実的だと思います。とにかく、できることからどんどん動くことが大切です。
- 新刊の発行を記念し、足立氏による「特別キャリアセミナー」を
3月19日(木)19:00-21:30 都内にて開催します。(参加費無料、50人限定)
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