ビジネスにイノベーションを起こす「思考法」 #18

数あるPR会社の中で、ベクトルが急成長できた背景【代表取締役CEO 西江肇司】

ベクトルが成長した理由は、時代の変化への気づき

田岡 たしかに、多くのPR会社が戦略PRを掲げて、包括的な提案によりPR市場だけでなくより大きな広告市場をとりにいきました。そうした企業の中で、ベクトルが最も成長できた理由は、何にあると思いますか。

西江 まず申し上げたいのが、もちろんベクトルも戦略PRは行いますし、その考え方は悪くはないと思っています。ただし僕らが成長できたのは、やはり時代が大きく変わったことに気づいた点です。

 ニトリもそうだと思いますが、ベクトルは「広告業界のSPA(製造小売業)」になりたいんですよ。ファストカンパニーと同義になると思いますが、一気通貫で企業のコミュニケーションの全てを担っていくという考え方です。

 日本の広告業界は、PRはPR会社、動画は動画制作会社という分業体制で非効率だと思います。特にPRは、雑誌や新聞が買われなくなった現在、斜陽産業でビジネスモデルを変える必要に迫られています。



 僕はよく海外に行き、現地のPR会社の人と話をしますが、彼らが取り組んでいるのはデジタル戦略などであって、日本で言うメディアへのコミュニケーションを中心にしたPRではないんですよ。ベクトルも同じようにPR領域にとどまるのではなく、お客さまの視点で“モノを広めるための答えを出す会社”にしたいのです。

田岡 と、おっしゃると?

西江 ベクトルが目指すモデルは、モノを広めるためのコミュニケーションの手段をワンストップで提供できるプラットフォームカンパニーです。数万円でニュースリリースを配信できる「PR TIMES」のほか、PRコンサルティング、ビデオリリース、インフルエンサー施策、キャスティングなど、モノを広めるための実効性の高いサービスインフラをつくるのです。

 そこにアドテクノロジーを組み合わせて、特別なアイデアがなくても1週間でターゲットの9割に情報を広げることも可能な世界です。費用もターゲットへの配信分だけをもらうモデルなので、多額の費用をかけずにできることが強みになります。 

 面白いビジネスですよ。例えば、展示会に1000万円かけて出展しても1日に数百人規模にしかリーチできませんが、NewsTVを組み合わせれば1週間で50万人に情報を届けることも可能です。

田岡 NewsTVは、制作費が無料から活用できるのですか。

西江 はい、もともとNewsTVのビジネスモデルを思いついたときは、1社につき150万円から500万円で利用してもらい、上場企業約4000社近くのマーケットが最低でもあると考えていました。

 しかし、制作でお金をとっていたら綿密な打ち合わせが必要で、1カ月に5本程度しか作れません。それならば無料にして動画配信の方で費用をもらおうと考えました。無料であれば、打ち合わせも必要なく、すぐに現地を訪問して撮影して編集するだけなので、当社としてもコストが掛からないんですよ。現在は設立4年目で、累計で1500本の動画を制作・配信されるほど成長しています。
 

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