ダイレクトアジェンダ特別企画 #01

【超実践的】アスクル・オイシックス・バルクオム・ビームスのECリーダーが語るGoogle、Facebook 、LINE活用法

 今回で3回目の開催を迎えた「ダイレクトアジェンダ」が、大分・別府(Hotel & Resorts BEPPUWAN)で開催された。会場には、EC・通販事業のマーケターと、それを支えるパトーナーなど234人が集結。オープニングを飾るキーノートセッションには、同じダイレクト領域のビジネスでありながら、異なるモデルで実績を挙げたリーダーが登壇した。

 幅広い日用品を取り扱うプラットフォーマー型のLOHACO(ロハコ)を率いるアスクル 取締役執行役員の輿水宏哲氏、D2Cでメンズスキンケアブランドを展開するバルクオム 代表取締役CEOの野口卓也氏、リアル店舗とECを連携させてオムニチャネルを実現しているビームス EC統括部部長の矢嶋正明氏。そしてモデレーターは、オイシックス・ラ・大地 執行役員 CMTの西井敏恭氏が務め、4社の共通点と相違点を探るとともに、3年後を見据えて、いま企業が何を取り組むべきかを考えた。


 

メーカーECか小売りECか—タイプで大きく異なる運用

西井 「ダイレクトアジェンダ」キーノートセッションのモデレーターをさせていただくのは3回目です。今回は、大きく3つのテーマで進行していきます。まず、ECのタイプについて。一言で「EC」といってもさまざまな形態があるので、まずはそれを改めて分類してみます。次に、登壇企業3社の具体的な施策について。いくつかのトピックを挙げながら、ダイレクトマーケティング領域の最前線で活躍しているお三方に最近の取り組みについて伺います。そして最後に、今後3年間でどんな取り組みをしていきたいか、展望と目標を伺います。
西井 敏恭
オイシックス・ラ・大地 執行役員 CMT(Chief Marketing Technologist)
シンクロ 代表取締役、オイシックス・ラ・大地 執行役員。1975年5月福井県生まれ。2年半にわたる世界一周の旅行記を更新したWebサイトが大人気となり、帰国後はEC企業にてWebマーケティングに取り組む傍ら、旅行を続け、訪問した国は100カ国近く。Webマーケティングのプロとしてデジタルマーケティングフォーラム「ad:tech」をはじめ、全国で講演多数。

 さっそく、ECのタイプの話から始めましょう。

 私は2013年末までの7年間、スキンケアブランド「ドクターシーラボ」のデジタルマーケティングに携わっていました。オイシックス・ラ・大地の同僚である奥谷 (奥谷孝司氏。オイシックス・ラ・大地 執行役員 統合マーケティング本部・店舗外販事業部管掌 店舗外販事業部 部長 COCO) は、良品計画でオムニチャネルを推進していました。2人がそれぞれ関わってきた「EC」は、似ているようで違う。ドクターシーラボは、自社商品のみを取り扱い、商品点数は少ない。良品計画は、自社商品のみを取り扱っている点は同じですが、商品点数は多い。一方、オイシックスは、仕入れ商品が多く、商品点数が多いという特徴があります。

 本セッションの登壇企業が運営するECも、それぞれ異なる特徴を持っています。縦軸に「リアル店舗中心⇔通販中心」、横軸に「小売りEC(仕入れ商品中心)⇔メーカーEC(自社商品中心)」をという四象限で分類できます。メンズスキンケアブランドのバルクオムは、通販中心のメーカーEC。2013年スタートの後発ながら、急速に成長を遂げているLOHACO(ロハコ)は、通販中心の小売りEC。ビームスは、リアル店舗中心のメーカーEC。近年EC比率が高まっていて、リアル店舗との相乗効果で売上を伸ばしていますね。仕入れ商品と自社商品、どちらも取り扱っているのも特徴です。この分類を念頭に置き、EC運用における具体的な施策の話を進めていきます。

 さまざまな施策がありますが、今回は「広告(検索、ディスプレイ)」「Webサイト」「アプリ」「オフライン」という4つをピックアップしました。皆さんには、事前アンケートで、各施策にどれくらい注力しているかを「○」「△」「×」で回答していただいています。

西井 まずSEO関連で言うと、2018年夏にGoogleのアルゴリズムが変更されたことで影響を受けている会社が多いと思うのですが、皆さんはどうですか? 悪質サイトの検索順位が下がったことで、企業の公式サイトなど「普通の」サイトの検索順位が相対的に上がった、ということだと思うのですが。

矢嶋 ビームスは、流入数が約1.2倍に増えましたね。
BEAMS
矢嶋 正明
ビームス
EC統括部 / 部長
2000年ビームス入社。店舗での販売業務等を経て、2005年にEC部門を立ち上げ。責任者としてEC事業全般の拡大に取り組み、2009年に自社ECサイトを開設。以降、店舗と自社ECのサービス共通化を進め、2016年には自社ECを完全直営化。その後、全てのオウンドメディアを統合しメディアコマースサイトを構築。現在は、リアル店舗とのオムニチャネル化を推進中。

野口 西井さんがおっしゃるとおり、企業の公式サイトが優位に表示されるようになった印象があります。「BULK HOMME(バルクオム)」は、当時オウンドメディアを立ち上げたばかりでしたが、まだ閲覧者の母数が小さかったので、あまり影響はありませんでしたね。
BULK HOMME
 ただ、バルクオムはアフィリエイターに広告運用をお願いする機会が多く、そのアフィリエイターによる紹介記事は、検索順位がかなり落ちたと感じています。

西井 わかります。バルクオムやオイシックスは、そのように間接的な影響を受けていると言えそうですね。

 GDN(Googleディスプレイネットワーク)/YDN(Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)、純広告、そしてYouTube広告といった「ディスプレイ広告」について聞いてみましょう。

 特徴的だと思ったのは、オイシックスを含め4社とも純広告に「×」がついたこと。登壇者全員が「×」をつけたのは、今回のセッションが初めてです。またYouTube広告は、オイシックスもぜひトライしたいと思いつつ、なかなか実践できていないのですが…バルクオムは「○」をつけていますね。

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