ダイレクトアジェンダ特別企画
「直近3年でマーケターが取り組むべきミッションは?」アスクル・オイシックス・バルクオム・ビームスのECリーダーが語ったこと
2019/03/06
「ダイレクトアジェンダ」のオープニングを飾るキーノートセッションには、幅広い日用品を取り扱うプラットフォーマー型のLOHACO(ロハコ)を率いるアスクル 取締役執行役員の輿水宏哲氏、D2Cでメンズスキンケアブランドを展開するバルクオム 代表取締役CEOの野口卓也氏、リアル店舗とECを連携させてオムニチャネルを実現しているビームス EC統括部副部長の矢嶋正明氏が登場。そしてモデレーターのオイシックス・ラ・大地 西井敏恭氏を加えて、それぞれの共通点と相違点を探るとともに、3年後を見据えて、いま企業が何を取り組むべきかを考えた(前編は、こちら)。
集客以外のサイト運用も三者三様
西井 広告の活用に続いて、後半ではWebサイト施策の話に移ります。大きく、オウンドメディア、コミュニケーション手法、データ活用に分けてお話ししましょう。まず、オウンドメディア。A/Bテストや、Web接客ツール、コンテンツマーケティングなどの施策について聞いていきます。オイシックスでは、主にLPでA/Bテストを行っていますが、LOHACOはどうでしょうか。
輿水 トップや検索結果、カートなど主要動線には常にA/Bテストを走らせています。直近スマートフォンサイトをリニューアルしたのですが、そのトップページも、モジュール単位でA/Bテストを繰り返しました。主要動線のUIが売上に与えるインパクトは大きく、億単位で売上が変わりますから、手を抜けません。
西井 追いかけている指標はCVRですか?
輿水 注文単価を重視しています。物流費が高騰する中、粗利率が低い仕入れビジネスは配送費負けするオーダーも少なくありません。売上を落とすことなく、利益の出るオーダーをいかに増やすか、バランスが肝要です。
西井 Web接客ツールは、「○」(登壇者は事前アンケートで、各施策にどれくらい注力しているかを「○」「△」「×」で回答)がついたところがなかったので、コンテンツマーケティングの話に移りましょう。
矢嶋 ビームスは、多くの方から「ブランド」と認識いただいていると思いますが、実態はセレクトショップ。嗜好性の高い商品群を扱う「専門店」と呼ばれる業態です。この業態においては、店頭接客が、お客さまのブランド体験価値を高める上で非常に重要な接点です。店頭接客によるブランド価値向上を40年以上続けてきた会社ということもあり、お客さまと日々向き合い続けているスタッフをコンテンツ化することに注力しています。
商品を使った、スタッフのスタイリングを紹介するコンテンツは、2011年から少しずつ始めていました。コンテンツを見た人と見てない人の間でCVRに顕著な違いが見られ、効果を確信していたので、草の根的にずっと継続してきたんです。もともとは静止画コンテンツでしたが、コンテンツの制作・運用に参加するスタッフが1500人を超えた段階で、動画コンテンツに舵を切りました。
西井 ECサイトのコンテンツ運用を、店舗を巻き込んで実行できているのがすごいですよね。動画コンテンツの効果は、すでに見えてきているんですか?
矢嶋 動画は2018年10月にスタートしてまだ半年も経っていないのですが、パフォーマンスが高いのは、やはりスタイリングのコンテンツ。動画の閲覧数とCVRの間には、明らかな相関関係が見られます。
とはいえ、動画コンテンツを始める段階では、「動画コンテンツは、CVを見るのはひとまずやめよう」という話を社内でしていました。すぐには効果が見られなかったとしても、動画はやっていくべきだという意思の下でスタートしたんです。CVにもつながっていますが、それはあくまで結果論。一番の目的は、スタッフがお客さまとつながり、その結果ブランド価値が高まっていくことなんです。