EUROPE TOUR2019ツアーレポート #01
欧州の最先端マーケティングを体感。ネスレ・LAKE STAR・VICE訪問で感じたこと【ツアーレポート】
顧客データを持つスタートアップをいち早く買収すべき
■2社目:LAKE STAR レイクスター (ドイツ・ベルリン)
2社目の訪問先は、ドイツ・ベルリンにあるリーディングベンチャーキャピタルLAKE STAR(レイクスター)です。彼らはインターネット、テクノロジー企業を中心に投資し、早いスピードでグローバルに成長できるビジネスモデルを探しています。過去にはFacebook、Spotify、Skype、Airbnb、Klarnaなどに投資してきました。今回は共同設立者で、デジタルポートフォリオマネージャーであるクリストファー・シュー氏とお話ししました。
メディア(TV、デジタルメディア)やマイクロソフトなどで働いた経歴を持つクリストファー氏は、GoogleやFacebookに依存するビジネスモデルに警鐘を鳴らします。デジタルメディアへの流入の90%以上を占めるサイトは、FacebookとGoogleです。つまり、この2社のアルゴリズムが変わるたびに、デジタルメディアは大きな影響を受けます。
そうした背景から、デジタルメディアだけではなく、FMCGメーカーも自社で顧客データを入手していかなければならないと同氏は語ります。例えば、ユニリーバが1000億円もの高額で買収した「Dollar Shave Club」というサービス。名称の「Dollar=1ドル、Shave=髭が剃れる、Club=会員制サービス」の通り、髭剃り定期購入サービスです。ヒゲ剃り本体と替刃の組み合わせをそれぞれ月3ドル、6ドル、9ドルで買えるサブスクリプション(定期購入)モデルで展開しています。値段は、ジレットなど大手メーカーの商品の半額以下だそう。
2012年の創業から4年で売上は、$200mn(220億円)を達成、会員数も320万人まで成長しています。ユニリーバは、このサービスを買収したことでユーザーの氏名、メールアドレス、オンライン上の行動履歴、購入商品・単価・頻度、退会率など様々な顧客データを獲得できました。
仮にDollarShaveClub上で、髭剃りジェルの商品をクリックしたら、髭剃りジェルの商品をFacebook広告やバナーなど、さまざまな方法でユーザーに訴求できます。また、競合製品に乗り換えたこともすぐにわかります。どれも商品を小売に卸しているジレット(P&G)やシック(エッジウェル)では、実現できないことです。
今後も、このデータドリブンな社会でリードし続けていくためには、ユニリーバの例のように、「顧客データを収集できるスタートアップをいち早く見つけて、買収することが大事」だと語っていました。クリストファー氏の経験に基づく鋭い考察に、ツアー参加者の皆さんも感化されていました。