マーケティングアジェンダ2019 レポート #04
楽天 三木谷社長の右腕マーケターは、いかにして生まれたのか?
2019/08/02
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三木谷社長とのコミュニケーションでは、右脳と左脳をフル稼働する
山口 カリスマ経営者・三木谷さんとの仕事の進め方についても聞かせてください。CMOとして、ビジョナリーな経営者とどのように連携を図っていますか。
河野 三木谷とは、毎日のようにコミュニケーションをとっています。大きなミーティングで一緒になることもありますが、電話やメッセンジャーを含め、基本的には1on1で話をすることが多いです。
密なコミュニケーションを通じて、三木谷の考え・思いは十分に理解していると思います。だからこそ、チームメンバーに指示をするときには、背景にある考えを理解している者として、経営と現場の間に立つ通訳のつもりで話をする必要があると思っています。
山口 経営者と近い位置にいるということが、CMOの条件ですね。
河野 そうかもしれません。三木谷は、頭脳の人。データが好きな戦略家・アントレプレナーです。でも面白いのが、あれほど知識があって、数字を読み解く力も高いのに「100%数字だけで決める」ことはしないということです。
数字はあくまで過去の出来事が形になったものに過ぎない。だから、大きなデシジョンメイキングをするときは、数字でリスクを計りつつ、最後の最後は自分の感性を信じて決めるんです。左脳8割・右脳2割でキャッチボールをしながら、判断を下しています。
山口 三木谷さんとのディスカッションでは、絵を描きながら話すそうですね。
河野 はい。データを見ながらひとしきり話した後に、ホワイトボードに絵を描き始めるんです。事業の3カ年計画、5カ年計画をさんざんロジカルに話し合った後、最後にWebサイトのアイコンやロゴのデザインなど、右脳の世界に移ります。データの先に見えた自分たちの事業が、ユーザーにどう伝わるか。アウトプットをイメージして、具現化していきます。
山口 右脳と左脳のコンビネーションに加え、スピーディな打ち返しも河野さんの強みですよね。
河野 はい、日々のコミュニケーションや指示系統はメッセンジャーツールなどを使ってタイムリーに行います。もちろん議論内容をきちんとドキュメントに落とし込んだり、きちんとした文章のメールを送ることもしますが、タイムリーにやれば、余計な枕詞が不要になり、コミュニケーションのスピードが上がりますし、上司や部下との距離も縮まります。
山口 フォーマリティの削除は重要だと思います。オープンコミュニケーションのカルチャーを実践しているのですね。
河野 会議のボリュームが、必要以上に膨らんでしまうことってありますよね。そういうときに楽天で行うのが「8分の1プロジェクト」です。
会議の回数を1/2に、参加者を1/2に、時間を1/2にする。「会議の時間を短くしましょう」と曖昧にするのではなく、明確に数字として見える化をします。こういう効率化って、やろうと思えば、意外と簡単にできてしまうものなんですよね。