ウーマンズインサイトアジェンダ特別企画 #01
女性のインサイトを捉えるための効果的な方法とは【オイシックス・クレディセゾン・コーセー・ニッセン・吉野家 座談会】
2019/09/30
インサイトを捉えるための工夫と課題
——Oisixでは、インサイトを把握するためにどんな工夫をされているんですか。
菅 定量と定性の両方を大事にしているんです。そのために私たちが取り組んでいるのは、お客さまに買い物の様子を見せてもらうこと。
そこから実際にWebサイトをどう回遊しているのか、何を買いたいと思ったかなど、定量だけではわからない深いインサイトが見えてくるので、その仮説からA/Bテストを繰り返して、成果が出た施策を実行していきます。
小林(加) Oisixさんの「Kit Oisix」のように顧客のインサイトごとに商品バリエーションをつくるのがベストですが、それをWebサイトや広告でどう出し分けるか、one to oneの取り組みが大事になってきますよね。各社がどう対応されているのか、カンファレンスでお聞きしたいテーマのひとつです。
——「ウーマンズインサイトアジェンダ」では、インサイトを捉えることで成功した事例を数多く紹介したいと思っています。皆さんは、インサイトにおいて、どのような課題を抱えていますか。
小林(祐) インサイトを汲み取ってクリエイティブを制作したところ、広告接触者から良い反応は得られたものの、売上につなげられず、マーケティング的に成功したと言えなくて・・・。好感だけでなく、売りにつなげることが課題ですね。
田中 最近、その傾向は顕著ですよね。広告としての評価は高いけど、モノが売れないというケースが多くの会社で起きています。 ただ、吉野家は先日、俳優の佐藤二朗さんが牛丼を食べているだけのテレビCMを放映したのですが、牛丼の売上がかなり上がったんです。
ただ美味しそうに食べているだけなので、放映するのにも勇気が必要だったのですが(笑)。この成功の裏にはインサイトがあったと思っています。
それは、吉野家のお客さまの大半は、牛肉をたくさん食べたいと思って来店しているということです。ちなみに、ヒットした「ライザップ牛サラダ」も最初は「ライザップサラダ」というネーミングにする予定だったんですが、社内の女性マーケターが「吉野家は牛でしょ」と言って、ライザップとサラダの間に牛が加わりました(笑)。
あとは、テレビCMに出演した佐藤二朗さんも、監督の福田雄一さんも吉野家のファンだったので美味しく食べるシーンにその熱量が加わって人を動かしたんだと思います。
小林(祐) 同じことを当社が起用しているインフルエンサーも言っていましたね。「お金をいただいて書いているPR記事でも、ファンは私がこのブランドが好きかどうかは、伝わるんです」と。嘘が言えない時代ですよね。
後編「女性向け商材のマーケティングは、『女性マーケター』が担当するべき?」に続く
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