BACKSTAGE #02

平成から令和へ。次代のマーケターに必要なのは、簿記2級とビジネス脳

マーケターも経営に触れるチャンスが必要


――お話を聞いていると、平成ではコミュニケーション領域がマーケターにとって重要なテーマになっていたのが、令和に入り、経営、ビジネスデザイン、データテクノロジーなどの知見もマーケターに求められ、業務のハードルが非常に高くなっているように感じました。令和のマーケターは、どうしたら良いのでしょうか。



藤原 
私は簿記。特に2級の取得をおすすめしています。簿記が分かると、バランスシート(貸借対照表)をつくれますよね。マーケティングは戦略なので、自分が持っているお金をどこに配分するか、これを理解していないとレバレッジをどこにかけるべきかわからないんです。なので、簿記の勉強をしてみるのは良いことだと思います。

――藤原さんは、簿記2級をお持ちなんですね。

藤原 いえ、僕は簿記3級(笑)。



――(笑)、須田さんからのお考えをお聞かせいただけますか。

須田 普通にマーケティングをやっている人たちにとって、経営を体感するって難しいイメージがありますよね。ひとつ面白い例として、アメリカ・マイアミの「Crispin Porter + Bogusky(クリスピン・ポーター+ボガスキー)」というクリエイティブエージェンシーを紹介します。

2000年代のはじめに、バーガーキングのインタラクティブWebサイト『SUBSERVIENT CHICKEN(サブサーバントチキン)』をつくったエージェンシーなのですが、リーマンショックの影響で仕事が激減したんですね。

そこで彼らがどうしたかというと、自分たちのお金でリスクをとって事業をやってみようとお酒のバーボンをつくったんです。「エンジェルズ・エンヴィ」という高級バーボンなのですが、広告のプロフェッショナルとして彼らの知見を使ってブランディングしたところ大成功して、最終的にはバカルディ社が買い取りました。つまり、彼らはバイアウトしたんです。

リーマンショックという思いもしない事件があったときに成功したひとつの事例ですが、たとえ失敗したとしてもマーケティングやクリエイティブの人間が経営に触れるいい機会になったはずです。こうしたビジネスチャンスをマーケティングの人材がどう生み出していけるかが重要だと思います。

――マーケティングに携わる人にとって勇気が出るエピソードですね。小金さんはいかがですか?



小金 
マーケティングのお仕事を支援させていただくことが多いのですが、私たちを上手に使ってほしいと思うときがあります。こういうデータが欲しいと言われたものをつくってお渡しするのですが、言われた以上のことをできないというジレンマがあるんです。

昔はデータの種類も少なかったので、それでも良かったかもしれませんが、データの種類が増えた昨今、その切り口が重要なんです。そのため、こういうデータが欲しいというよりも、抱えている課題やどんなことを検証したいかなど、少し先の話をしていただきたいと思っています。

これからの時代は単発でセッションしたらわかるという安直な話ではなくて、長いお付き合いをさせていただく中で、パートナーとして仕事をする関係が望ましいと思っています。

後半「令和時代に求められるマーケター像とは?」に続く
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