RECONE レポート

キーワードは、いつの時代も友だち? 若者の可処分時間を奪うために必要なこと 【足立光・西村真里子・北庄司英雄 】

友だちと話が合わなくなるのが嫌だからYouTube


 また、足立氏は若者がYouTubeで動画を“なんとなく見る”理由として「友だち」をキーワードに挙げた。「昔はテレビを見ておかないと次の日の友だちとの話題についていけなかったが、それが今はYouTubeになっている。みんなが見ているから自分も見ておかないとと思っており、メディアの中で一番強いプレッシャーを受けている」

 西村氏も「今の若者は友だちがフォローしている人の中でメンションされている人や、友だちがタグ付けしている人をフォローする傾向が強い。特に女性は、コンテンツありきよりも友だちという理由が強いように思う。その背景には、同じコンテンツを楽しんでいるという安心感があるため、メディアは盛り上がっている感を演出することが大事」と分析した。

 足立氏、西村氏の発言を受けて、北庄司氏は「動画をつくっている側は魂を込めてつくっているため、そういった空気感で選ばれているのは少し寂しい。また、誰かが見ているから自分も見るのでは、若者の感性が衰えていく。その結果、コンテンツのクオリティも低下していく」という危惧の念を表明した。



 一方で、足立氏は「良いコンテンツを目的にメディアに訪問するという行動は理想だが、可処分時間は“なんとなく”の時間。そこで新しいメディアをつくるなら、“なんとなく”のメディアになることが大事。かつてテレビが強かったのは、なんとなくスイッチを入れる、なんとなく見てしまうメディアだったから。しかし現在は、テレビの前にいる時間は1日のうちで1~2時間程度。一方で、スマートフォンは24時間一緒にいるため、スマートフォンに最適化したコンテンツをつくることが大事」と考察を述べた。

 西村氏から、「ナイアンティックが提供するポケモンGOこそ、アプリを立ち上げたら、何となくそこに友だちが感じられる世界を目指しているのでは」と話題を振られ、足立氏は「まさにそう。可処分時間を歩くことに使ってもらうためのアプリ。ダイエットと一緒で、仲間がいないと一人ではなかなか続かない。だから、ポケモンGOでも友だちとつながれて、プレゼントを贈り合うことができる仕組みにしている」と話した。  

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