ウーマンズインサイトアジェンダ

「憧れ」と「身近さ」の両立。ゴディバの急成長を実現した、常識に囚われない戦略

 10月28日、29日の2日間、京都・都ホテルにて開催された女性向け商材のマーケティングをテーマにした「ウーマンズインサイトアジェンダ 2019」。キーノートには、ゴディバ ジャパン CEOのジェローム・シュシャン氏が登場。2010年にCEOに就任して以降、7年間で売上3倍にするなど、ここ数年のゴディバの急成長を支えている立役者だ。前編に続き、後編ではエトヴォス取締役 COO・田岡 敬氏が登壇し、シュシャン氏とCDOの宮野淳子氏に成長の秘訣を聞いた。
 

過去に囚われず、新しいことにチャレンジを。


田岡 前半のご講演は、ゴディバの急成長の背景には、百貨店やショッピングモールだけでなく、コンビニエンスストアなどへの販路拡大があったというお話でした。一般的に、高級ブランドの多くは、コンビニエンスストアはブランドイメージが合わないと、商品を置きたがらない傾向にあります。それでもゴディバが販路を広げた理由をお聞かせください。

シュシャン 一番のポイントは、「おいしいものがあれば買ってみよう」という意識がお客さまの中にあったことです。また、コンビニエンスストアでアイスクリームを買うお客さまが多いことも分かったので、最初にアイスクリームの販売から開始しました。でも当時は、大半の社員に反対されました。
 
ゴディバ ジャパン CEO/代表取締役社長 ジェローム・シュシャン氏

田岡 社員に反対されたのは、ブランドイメージに悪影響があるという理由からですか。

シュシャン 
そうです。ところが、ある時ミシュランで星を獲得しているレストランのシェフが、「どこに行っても、ゴディバのチョコレートアイスクリーム以上に美味しいアイスクリームはない」と言ってくださったんです。商品のクオリティに自信があれば、売る場所は関係ないと思うきっかけになりました。

何よりも、お客さまが買いやすい場所、そして商品のクオリティを妥協しないことが重要だと考えています。ただし、ギフト商品はコンビニエンスストアに一切置きません。自分へのご褒美として、買うものだけを販売するようにしています。

田岡 コンビニエンスストア向けに展開するにあたり、新商品の開発をされたのですか。
 
エトヴォス取締役 COO 田岡敬氏

シュシャン はい。ローソンでは、チョコレートのロールケーキをつくりました。ローソンで通常販売しているロールケーキは150円でしたが、我われは特別なカカオ豆を使用していたため、どうしても原材料費がかかり350円になりました。

当初、ローソン側は「この値段では売れないのではないか」と言っていましたが、結果としては売り切れたんです。お客さまは自分へのご褒美として、少しプレミアム感のある商品を食後や会社帰りに召し上がりたいというニーズを持っていることが明らかになりました。

田岡 コンビニエンスストアでゴディバを試して、新規顧客になった方もいましたか?

シュシャン はい、既存のショップの売上も伸びるという相乗効果がありました。「ゴディバのアイスクリームがあるとは知りませんでした」という声もありました。

一方で、「ゴディバはコンビニエンスストアではなくて、ブティックで買いたい」というコアユーザーもいましたし、「ゴディバは敷居が高いイメージがあったが、身近になった」という方もいらっしゃいました。

田岡 これまでと異なる販路ということで、勇気が必要な決断だったと思います。

シュシャン そうですね。ただし、食べ物は「来年買おう、来週買おう」というものではなく、その時、その時で買いたくなるという特徴を持っています。そうであれば、「おいしそうだから買ってみよう」と思わせる売り場を増やしたいと思っていました。 それに、百貨店、ショッピングモールなどにも出店していましたが、ゴディバのおいしいチョコレートやアイスクリームをもっと多くの方に知ってもらいたいという強い思いもありました。

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