ダイレクトアジェンダ特別座談会

進むマイクロブランド化、物流で差別化。 2019年、ダイレクトマーケティングの現在を徹底議論


ダイレクトマーケティン領域のトップマーケターが250人集結
「ダイレクトアジェンダ2020」が宮崎で開催決定、参加者募集中。

 消費者と企業がオンラインで直接つながる時代。ダイレクトマーケティングの知識や経験は、通販事業者のみならず、あらゆる業界で必要になっています。商品を自社で企画・製造し、ECサイトやソーシャルで直接販売するD2C(ダイレクト・トゥー・コンシュマー)も注目を集めている中、2月6日から宮崎県でダイレクトマーケティング領域のトップマーケターが250人集結する「ダイレクトアジェンダ」が開催。そのカウンシルメンバーの中からアスクルの輿水宏哲氏、スクロール360の高山隆司氏、コメ兵 藤原義昭氏、フェリシモ 市橋邦弘氏の4人が現在の潮流と、今後企業が取り組むべき方向性を議論しました。
 

多様化した価値観に合わせた、マイクロブランド化は必須

 
左から輿水宏哲氏(アスクル 取締役執行役員)、藤原義昭氏(コメ兵 マーケティング統括部 執行役員)、高山隆司氏(スクロール360 常務取締役 ビジネス戦略室長)、市橋邦弘氏(フェリシモ 物流・EC支援事業部 部長)

――2019年現在、皆さんが感じられている「ダイレクトマーケティングの潮流」をお聞きしたいと思います。今年、感じられた変化は、ありますか。

藤原 今年、何か大きなトピックが起きましたっけ?

高山 そうですね。ZOZOのヤフーグループ入りは、大きなニュースだったかもしれませんね。

――10月の消費増税とポイント還元、あとはキャッシュレス化も進みました。

藤原 たしかに5%還元は、コモディティを扱う会社には大きな影響がありましたよね。還元対象ではない大手ストアなんかもう、「早く終わって欲しい」と言っていましたから。フェリシモさんも影響を受けていますか。
藤原義昭氏
コメ兵 執行役員
2000年自社ECの立ち上げをし、物流からささげ業務まですべてを構築し、全社マーケティングを行いながらオムニチャネルを推進している。 現在はマーケティング部門を統括し傘下にシステム部門、マーケティング部門、EC部門、WEB事業部門、CtoC部門をおさめている。

市橋 いえ、当社はあまり影響を受けていないですが、モールに同じ商品が並ぶとどうしても5%還元の方に流れちゃいますよね。コモディティは、価格の戦い。しかも、それがいつまで続くか分からないから、やり続けるしかないなと。それとは別に、2019年はD2Cブランドなどで、新しい価値が生まれてきている感覚もありますね。
市橋邦弘氏
フェリシモ 物流・EC支援事業部 部長
ネット販売企画室の室長として、ECの販売、制作、広告、アプリ開発、システム開発などを推進。1998年、神戸市須磨区に情報物流拠点エスパスフェリシモが完成したのを機に、CS部門でネット専門対応チームの立ち上げ、情報システム部門でECと基幹システムの連携を担当。2015年から事業開発担当として、自社の顧客基盤や物流・EC基盤を活かして複数のパートナーとECの共同事業プロジェクトをサポート。

藤原 ただ、D2Cブランドも日本で100億円や200億円も売れるかと言うと難しいと思います。とはいえ、今はマス広告を打って「たくさん買ってください」という時代ではないし、消費者の価値観が多様化し過ぎているので、ひとつの企業内でそれらに合う商品をいくつ持てるかが重要な気がします。

――顧客のニーズごとに、複数のプロダクトを持つイメージでしょうか?

藤原 プロダクトに限ったことではなく、体験までも含めた全体的なデザインが重要だと思うんですよね。

輿水 実際、どの消費財メーカーも昔よりブランド数が増えていますよね。例えば、大手メーカーが出しているシャンプーをとっても以前は数個だったブランドが、今はサブブランドまで含めると本当にたくさん出ています。「マイクロブランド化」と言われている通り、大手企業も取り扱うブランド数を増やさないと、消費者の嗜好の変化に対応しきれない面があると思います。
輿水宏哲氏
アスクル 取締役執行役員ECマーケティング本部長
アスクル 取締役執行役員。BtoC向けEC「LOHACO」(ロハコ)のECマーケティングを担当。2000年大学4年在学時にeグループ株式会社に入社、2001年会社買収によりヤフーに転籍。2006年はてな入社、取締役経営企画担当。2009年グリー入社、執行役員Web Game事業統括本部Platform本部長。2014年アスクル入社、現在に至る。早稲田大学法学部卒。1977年生まれ。

藤原 分かります。うちの小学校4年生の娘の話になりますが、髪の毛が多くてドライヤーで乾かすのに30分も掛かるので毎日大変なんです。それで、少しでも早く乾くシャンプーはないかと探したら、あったんですよ。しかもその商品、SNSで知ったんです。

市橋 
フェリシモの例でマイクロブランド化を紹介すると、20年前に左利き専用の包丁やはさみなどを集めた「左利きカタログ」を出したところ宣伝はしなかったのですが、口コミで浸透しました。今はインターネットの時代だから、さらなる広がりを感じています。

高山 たくさんの事例がありますよね。いまスクロール360でお手伝いしているのは、歯医者さんが開発した赤ちゃん専用歯磨き粉。一般的に歯磨き粉に使われるフッ素は、赤ちゃんが飲み込むと支障があるケースもあるそうで、フッ素を使わずに虫歯になりにくくしている商品。これがひとつ8000円もするんですが、1カ月で1万5000個も売れている上、継続率が90%もあるんです。
高山隆司氏
スクロール360 常務取締役 ビジネス戦略室長
1981年スクロール(旧社名ムトウ)入社以来、38年にわたり通販の実戦を経験。2008年には他社のネット通販企業をサポートするスクロール360の設立に参画、以後、200社を超えるネット通販企業の立ち上げから物流受託を総括。その経験を生かし2015年2月に「ネット通販は物流が決め手!」「シニア通販は『こだわりの大人女性』を狙いなさい」(ダイヤモンド社)を出版。

――つまり「この人のために」というブランドをつくると、同じ課題を持っている人にきちんと届く。そして、それが通販ビジネスとして成り立つということですね。

市橋 はい。ただ一方で、市場が狭すぎるとビジネスとして成立しないので、セグメントの切り方が大事です。

――マイクロブランド化したニッチな商品をつくったとき、その商品を必要としている人にはどうすれば、届けられるのでしょうか?

輿水 当然SNSを使うケースが増えていますよね。マス広告では回収できませんし。

藤原 データを使って誰に当てるのか、テクノロジーと分析が重要です。でも、当てるだけでもだめで、その人たちにとって価値のあるものとして理解されるクリエイティブもきちんと開発することが必要だと思います。

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