ダイレクトアジェンダ特別座談会

進むマイクロブランド化、物流で差別化。 2019年、ダイレクトマーケティングの現在を徹底議論

売ることだけを考えればいい時代は、終わる


――高山さんの専門分野である物流でも大きな変化が起きています。

高山 はい、2017年時点でAmazonが出荷している荷物の71.4%がヤマト運輸でした。それが今年5月には31.8%に下り、さらにヤマト運輸、佐川急便、日本郵便以外の配送業者の比率が41%に増えたんです(2017年は2%)。つまり、3大配送キャリアに依存した体質が徐々に変わっていると言えます(調査元:ウケトル「Amazon、楽天における宅配会社利用率(宅配クライシス前後) 」※リンク先は2018年調査)。

また、Amazonと直接契約して配達員になれる「Amazon FLEX(アマゾンフレックス)」もあります。Amazonは、置き配をOKにし始めているので、素人でも配達できます。一方で、ヤマト運輸は住宅地図に「この人は何時から何時は在宅している」など書き込みをすることで、配達効率を上げているんです。そのノウハウも見過ごせないんですよ。



市橋 最近は、ルート配送を改善するソリューションが出てきましたよね。ベテランのドライバーと初心者のドライバーで1日の配達数に大きく差が出るのは、道を知っているかどうかです。なので、配達員がスマートフォンを見ると、地図に自動的に一筆描きで配送ルートが表示されるサービスもあります。

輿水 
アスクルでも使っています。

藤原 
Uber Eatsと一緒ですね。最近、ラストワンマイルにおける顧客体験が問題になっていますが、やはりヤマト運輸と佐川急便のドライバーの品質は高いと思うんですよ。

市橋 
対面と置き配での使い分けも必要でしょうね。置き配に求められるのは効率の良さ、対面であれば、対話の品質も大事です。当社の場合、配達時に「フェリシモです」と社名を伝えてもらうようにしています。

――物を届ける体験が差別化になる時代ということですね。

輿水 
はい、まさにアスクルでは、そうした考えから配達時に不要な段ボールを回収するサービスを実施しています。段ボールを捨てるのは、かさばるし大変じゃないですか。その回収を体験してもらうと「ロハコで買うと、段ボールがたまらないから、また買おう」と思ってもらえます。

高山 
たしかに「ダンボールをつぶすのが大変」という声をよく聞きます。昔は、サプリメントや化粧品業者がブランディングを意識してパッケージの形状にこだわっていましたが、今は梱包して2、3cmのサイズになるパッケージに変える傾向にあります。

市橋 
送料が全然違いますし、簡易包装しないとお客さんから怒られることもあります。

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