ウーマンズインサイトアジェンダ #03
自分と向き合うのはなく、自分を眺める。800年の名刹と180年老舗漬物店から学ぶ「伝統と革新」
2020/01/06
良いと思えば続け、不要だと思えばやめる
田中 村上さんは、Bijuuの取り組みをはじめ、伝統の枠を外すことを自然とされているように感じますが、どのように時代を読まれているのですか。
村上 何なのでしょうね。私たちは、祖母や父がしてきたことを良いと思えば、続けているだけで、不要だと思えば止めます。そこに、あまり理由付けをしていないですね。
田中 東凌さんは、いかがでしょうか。
伊藤 前時代の真似は、あまりしたくないという思いがありますが、先代たちがされていた良かった部分をコードとして読み取って取り入れることで、受け継がれているような気はしますね。
田中 それはマーケターにも置き換えられそうですね。僕はビジョンの設計をよくするのですが、創業者のコードを読むのが有効だと思いました。ビジョンというと、東凌さんは、800年の歴史を担いながら、どのようなビジョンを設定されているのですか。
伊藤 800年の歴史があるので、50年後、100年後を当たり前に来る未来として、そのときにも美や叡智とは何か、正しいとは何かを、人が問い続けられるような場所にしたいと考えています。
流行りに囚われるのではなく、かといってゆっくり進んでいくのでもなく、常に変わっていくぞくらいの思いを持ちながら、クオリティを高めていくことが一つのキーワードですね。
田中 最後に、村上重さんが愛され続けている源は何でしょうか。なぜ180年も継承できたと思われますか。
村上 なぜでしょう。でも、堅実にしていたらお客さまはその姿を見てくださるのかなと思っています。素材を大切にして、四季を感じてもらえる、そしてお店に来たらお花を愛でながら、ほっとしていただける。そうした空間を今後も続けていきたいと思いますね。外では、目まぐるしく流行りが変わったりしていますが、私たちは地道にコツコツと、築いてきたものをキープする努力が大事なのではと思っています。
田中 東凌さんは、いかがでしょうか?
伊藤 難しいですね。月並みな意見ですが、やはり自分のフィールドから一番遠い職場にいる人たちと、どれだけ接続して意見交換できるかが大事だと思います。
そこで自分の中に積み重なった記憶や大好きだった言葉がぴしゃっと重なったときに、コードや自分のコアとなる部分に触れることができると思うんです。
田中 お二方とお話していて、伝統の中にコードなどのいろいろなワードがありましたが、僕はそれを論理で把握して周りを巻き込んでいくパッション、つまりコアとビジョンの話だと捉えました。
宗教界や老舗にいる方がこんな斬新な話をされるのに、負けていられないですよね。だからこそ僕らは、伝統や格式からまず学んで、未来を描きましょう。今日は楽しい時間をありがとうございました。
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