リテールアジェンダ2019 レポート #01

ユニクロ柳井正が惚れた逸材・澤田貴司が、ファミリーマートの社長になるまで

ユニクロを辞めて、新会社設立。ダイエー支援に乗り出す


足立 ファーストリテイリングには、4~5年在籍されたのですよね。ちょうどその頃が、皆さんもよく知る、ユニクロが顕著に伸びていた時代ですよね。

澤田 
そうですね。私の入社当時に比べ、会社の売上も時価総額も飛躍的に拡大しました。

2002年に同社を退職、保有していた株を売却し、それを軍資金として2003年に自分の会社をつくりました。流通業専門の再生支援会社です。

足立
 KIACON(キアコン)ですね。この社名の由来は、何でしたっけ?

澤田 
「気合」と「根性」です。会社というものは、気合と根性だろうと(笑)。

足立 
澤田さんがバリバリの体育会系商社マンだったことがよくわかります(笑)。



澤田 
ファーストリテイリングを辞め、「何かデカいことがやりたい」と考えながら度々アメリカに足を運んでいたところ、流通業を対象とした企業再生ファンドがいくつも立ち上がっていることを知りました。

日本でも多くの流通企業がガタつき始めていた頃。それでキアコンの設立を決めました。そして、2004年に産業再生機構によるダイエー再建のスポンサー募集が出た際に、名乗りを上げたのです。

足立 
立ち上げたばかりの会社がいきなりダイエーの支援に入ろうだなんて、常識ではちょっと考えにくいですよね。しかも、イオン、丸紅、キアコンという、驚きのラインナップでした。(編集部注:ダイエー再建のスポンサー募集の第二次入札に残ったのは、次の3グループだった。①イオン、京セラ、三菱商事連合 ②丸紅、アドバンテッジ パートナーズ連合 ③キアコン、オリックス、伊藤忠連合)

澤田 
当時、日経新聞の1面記事で紹介されたとき、キアコンには「ファーストリテイリングにいた澤田が、気合と根性でつくった会社」という注釈がついていました。めちゃくちゃ嬉しかったのを覚えています。

軍資金として650億円を集め、33.4%のエクイティを得ようと動いていましたが、最後の最後で落選し、キアコンは畳みました。それが、40代半ばぐらいのときのことです。

足立 
そして2005年、盟友の玉塚さん(元ローソン代表取締役会長 玉塚元一氏。現在はデジタルハーツホールディングス代表取締役社長CEO)らとリヴァンプを設立された。

澤田 
はい、玉塚、コンサルティング会社 ブーズ・アレン日本法人代表取締役の澤田宏之さん、ダイエー再建の際にリーガルアドバイザーをお願いしていた弁護士の瓜生健太郎さんと私の4人をボードとして、企業再生事業のリヴァンプを立ち上げました。

2010年に玉塚がローソン顧問に就任し、その後COO、CEOになった当時は、ずいぶんとやり合いましたし、「かつての盟友がライバルに」という形でメディアにも取り上げられました。

ただ、玉塚とは、伊藤忠時代に旭硝子の担当者として知り合ってから35年の仲です。ファーストリテイリングにも来てくれた(編集部注:1998年に日本IBMに入社、4カ月後に退職しファーストリテイリングへ入社。2002年にはファーストリテイリング代表取締役社長兼COO就任)し、今ではジジイになったら、また一緒に会社をつくろうかと話していますよ(笑)。

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