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マーケティングアジェンダ

スマホでできる精子セルフチェック「Seem」に学ぶ、イノベーションの起こし方【前編】

世界最大級のクリエイティブの祭典「カンヌライオンズ」でモバイル部門グランプリを獲得した、スマホでできる精子のセルフチェック「Seem(シーム)」。社会課題を解決するソリューションとして高く評価された。

事業を通じて社会に貢献し、世界をより良くしていくことが、企業に求められている昨今。「Seem」を提供するリクルートのチームは、グローバルで通用するコンセプトをどのように発見し、サービスとして具現化したのか。そして今後、普及に向けてどのような取り組みをしていくのか。今後、マーケターが向き合わねばならない社会課題へのアプローチのためのヒントを探った。


 

時代が変化するスピードは、多くの人が思っているよりはるかに速い

馬渕 マーケティングアジェンダ3日目のキーノートセッションのテーマは「イノベーション」です。僕は長くデジタル畑に身を置いてきました。テクノロジーが先行して世の中を変え、それに人々がついていって、マーケティングが追いかける――テクノロジーとマーケティングのそんな相関関係を、ずっと関心を持って見つめ続けています。

馬渕邦美 フライシュマン・ヒラード SVP&Partner Sapient inc (US)勤務後に、1998年日本でインタラクティブ・エージェンシー、DOEを設立し代表取締役社長に就任。 2005年 UKのデジタル・メディアエージェンシーProfero incとDOE 社のジョイントベンチャーであるProferoを設立。代表取締役社長に就任。 インタラクティブ・マーケティング業界で15年に及ぶトップ・マネージメントを経験し、2009年にオムニコム・グループであるTribal DDB Tokyo ジェネラル・マネージャーに就任。日本における事業の立ち上げを成功させる。2012年オグルヴィ・ワン・ジャパン、ネオ・アット・オグルヴィの代表取締役に就任。オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャ パン・グループのデジタルビジネスを牽引。グループの再生を成功させた。2016年よりフライシュマン・ヒラードに参画。FHブランド・ジャーナリズム・センターを立ち上げた。複数企業のアドバイザリーを務める。『データ・サイエンティストに学ぶ「分析力」 ビッグデータからビジネス・チャンスをつかむ』『ブロックチェーンの衝撃-ビットコイン、FinTechからIoTまで社会構造を覆す破壊的技術』(共に日経BP社)監修者。


萩原 私は、リクルートグループの宣伝機能などを担うリクルートコミュニケーションズに在籍しています。もともとクリエイティブ畑におり、既存サービスのCMの企画制作はもちろん、新サービスのコンセプトメイキングからロゴデザイン、UI・UX設計を手がけることもあります。これまでに、新規立ち上げではPOSレジアプリ「Airレジ」やオンライン学習サービス「スタディサプリ」など、そして今日お話しさせていただく精子のセルフチェックサービス「Seem(シーム)」に携わってきました。

萩原幸也 リクルートコミュニケーションズ マーケティング局コミュニケーションデザイン部/部次長 じゃらん、タウンワーク、リクナビ、スタディサプリ、Airレジなど、リクルートグループのサービスやコーポレートブランディング及び、プロモーションを担当。サービスのビジョン・コンセプト設計からネーミング、ロゴデザイン、テレビCM、WEB、SNS、SPなどに渡り統合コミュニケーションを手がける。


入澤 リクルートライフスタイルで「Seem」を立ち上げ、責任者をしています。社会人8年目で、リクルートは2社目です。大学卒業後に入社した前職では、女性のための健康情報サービス「ルナルナ」を担当し、女性だらけのチームの中で3年間男ひとりで生理に向き合っていました。現在はそこから一転、精子のセルフチェックサービスを手がけているわけです。
入澤 諒 リクルートライフスタイル ビジネス開発グループ/新規事業開発担当 大学卒業後、モバイルIT企業に入社。 女性向けの健康管理サービスの企画・プロモーションのディレクションや遺伝子検査サービスの立ち上げを担当。2014年11月にリクルートライフスタイルに入社し、新規事業開発部門に配属。 新規事業として『Seem(シーム)』を立ち上げ、現在はSeem事業全体の戦略策定からUXの検討、プロダクト開発までを担当する。
  • 2016年度グッデザイン賞 特別賞[未来づくり]受賞
  • ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2017 優秀賞受賞
  • カンヌライオンズ2017 モバイル部門 グランプリ、ゴールド、シルバー受賞 グラス部門 ブロンズ受賞

馬渕 ということで、今日はガッツリ、精子の話です。覚悟しておいてください(笑)。

入澤 ついてきてください(笑)。

馬渕 さて、まずは、なぜ「イノベーション」をテーマにしたかということについて、お話しします。

まずは1900年のニューヨークと、1913年のニューヨークの2枚の写真を見てください。ずいぶん街並みが変わっていますよね。特に、自動車が増えていますよね。この間に何が起こったのか――皆さんご存知、産業革命ですね。10年ほどの間に、街並みがガラリと変わった。この写真は、「時代は、多くの人が思っているよりもはるかに速く変化していく」ということを物語っていると言えます

近年、テクノロジーは急速に進化しており、今後も世の中はものすごい勢いで変わっていくことがわかっています。その状況にどう向き合っていくのか、マーケティングに携わる我々にとっても無視できない問題だと思うのです。
 

変化するライフステージ、持続可能な社会に向けて

馬渕 いまから10年後、2030年の世界は、果たしてどうなっているのでしょうか。全世界的に高齢化が進み、中国およびアジアの経済圏としての勢いはピークに。製造拠点はアフリカへと移り、都市に人口が集中する。2007年生まれの人の平均寿命は107歳に到達し、定年退職の年齢は80歳に引き上げられる。……そうなると、家族のあり方や、ライフステージのモデルは、これまでとはまったく違うものへと変わっていくでしょう。そこをどう捉え、考えるかが重要になってくるのです。

シリコンバレーの起業家 イーロン・マスクは、火星への有人飛行を目指してロケットの開発を進めていますね。高齢化が進んで多くの人がサヴァイブし、そこに新しい世代の子どもたちが加わっていくわけですから、地球資源は当然足りなくなっていきます。EUでは「サーキュラー・エコノミー」(注1)が経済成長戦略のひとつとして位置づけられていますが、持続可能な経済を実現しなければ、もはや地球はもたないと言われています。
※注1:
再生し続ける経済環境を指す概念。製品・部品・資源を最大限に活用し、それらの価値を目減りさせずに永続的に再生・再利用し続けるビジネスモデルも意味する。

「Seem」にも関連する、医療・ライフサイエンスの領域についていうと、高齢化が進む中、「健康増進」が最重要テーマのひとつになっています。実は、マーケティングアジェンダに来る前、僕はサンフランシスコにいました。元Evernote CEOのフィル・リービン氏が立ち上げたスタートアップスタジオ「All Turtles」のピッチイベントを見に行ったのです。ヘルスハッカーやバイオハッカーがたくさん参加しており、医療とほかの産業とをつないで新しい医薬品や健康器具を生み出す企業が次々と登場していることに驚きました。

3Dプリンター、センサー、AI……進化するテクノロジーを組み合わせて、どのように世の中を変えていくのか。それは、現代、そして次世代を生きるマーケターにとっても無視できない課題だと思うのです。

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