ダイレクトアジェンダ2020 #01

ダイレクトマーケティングのトップランナーが語る「広告離れ」と「商品原価アップ」という傾向

 

ユーザー体験の充実が、ダイレクトマーケティングの生命線に


西井 「Web」「コミュニケーション」「データ活用」という3つの施策について、各社の取り組み状況をまとめました。まずは「Web」について伺っていきましょう。

Web接客ツールは、2017年頃は登場したばかりで使っている企業はほとんどありませんでしたが、今年はコメ兵さんが○を付けていますね。手応えはありますか?

藤原 はい。投資回収できていますし、CVRも上がっています。Web接客ツールはもはや特別なものではなく、当たり前の存在になりました。

西井 
FABRIC TOKYOがWeb接客ツールを使わない理由は何でしょう?

森 
いろいろ見てみたのですが、「Web接客に逃げたくないよね」という社内の声が強く……なかなか導入が進まないんです。

Web接客に頼るのは、UIがきちんとできていないからだと。効果的な導入方法と、社内の説得方法を教えてほしいです(笑)。

西井 
dマーケットは、いかがでしょうか。

長谷川 
一時期、dマーケットでも導入していましたが、現在は内製しています。データを使って情報・コンテンツを出し分ける作業は、社内でやったほうが早いだろうという話になって。というのも、ユーザー数課金のツールが多い点が、訪問ユーザ数の多いdマーケットにとってはハードルだったんです。  
   
長谷川 誠
NTTドコモ コンシューマビジネス推進部サービス戦略担当課長/シニアプロフェッショナル
入社以来、一貫してモバイルサービスに従事。楽天出向を経て、2011年にdマーケットの立ち上げに関わり、音楽配信事業、電子書籍事業を経験。2012年以降、dショッピング、d fashionを立ち上げ、コマース領域進出を果たす。2014年からはdマーケット全体のマーケティングを担当。2018年のマネージャー就任後、半年間でMAUを400万成長させ、1000万MAUを達成。現在21ストアを提供するdマーケットのマーケティングリーダーとして成長を促進すると共に、デジタルマーケティングのスペシャリストとしてドコモのデジタルシフトを牽引している。

西井 
次に、「コミュニケーション」について伺います。メール、LINEビジネスコネクト、ソーシャル公式など様々ありますが、面白いのはソーシャル公式ですね。2017年は、公式Twitterに積極的なブランドはほとんどなかったのですが、○を付けるブランドが増えましたね。

長谷川 
かつてはキャリアとしての集客に頼っていたのですが、キャリアフリーユーザー(他キャリアの回線で契約した端末を使っているユーザー)を獲得しなければならないということで、1年ほど前から力を入れています。

フォロワー数はようやく20万人を突破し、ドコモ公式の30万人を間もなく超えるのではと見込んでいます。KPIはフォロワー数と、dマーケットポータルへの流入数。Twitterはファンマーケティングにも活用しています。

児玉 当社も広告よりソーシャル公式での発信を重視しています。単品通販とサブスクリプション、両方してみて改めて気づいたのが、「広告費をかけなければ、そのぶん原価にかけられる」ということ。つまり、ユーザー体験の質を高めるためにお金をかけられるということです。

ラクサスの毎月の継続率は98%。原価をかけると、チャーン(解約)が明らかに減ります。サブスクリプションビジネスでは、継続率が1%高まると、原価が倍になってもすぐに取り返せる。それだけ継続率は重要なものです。

チャーンを減らすために何ができるか?お客さまの体験価値を高めるには何をしたらいいか?ということに、何よりも力を入れています。

森 
児玉さんのお話に100%共感します。当社も、広告出稿を1年前の半分程度まで減らしていますが、それでも新規顧客は増えています。

原価をかける、つまりファン向けの新商品を開発したり、ファンイベントを毎月開催したりといったことにお金をかけ、「リピート率」を自社の最も重要な指標と位置づけています。

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