ダイレクトアジェンダ2020 #01
ダイレクトマーケティングのトップランナーが語る「広告離れ」と「商品原価アップ」という傾向
2020/03/30
「データ」にはどう向き合えっているのか?
西井 原価をかけてユーザー体験を充実させ、解約をいかに防ぐかは、D2Cにおいても重要と言われていることです。実は、ドコモさんもコメ兵さんも、2017年から広告にはあまり○を付けていませんよね。
長谷川 データを活用した顧客体験価値の向上には、かねてから取り組んできました。dマーケットでは、21のサービスから吸い上げるデータを活用してクロスセル/アップセルを図っています。
直近3年間でドコモ全体のDMPが整備されてきたことで、キャリアデータやdポイント・d払い・dカードといった決済サービスのデータを使って新規の流入を促し、流入後はより詳細なデータでクロスセル・アップセルを行う、ということも可能になってきました。
児玉 データは、どんな仮説を立ててどのように使うか、つまりデータサイエンスが重要ですよね。当社AIの分析から「バレンシアガとミュウミュウが好きな人はプラダが好き」ということがわかっています。
でも、もしプラダを知らなかったら、借りられない。だから、バレンシアガとミュウミュウばかりをレンタルしている人がいたら、プラダをレコメンドするといい。そうすれば、もっとサービスを楽しんでもらえるようになります。
西井 現在人気のあるサブスクリプションサービスはユーザーにあわせた状態をつくった上で、繰り返し利用していただくことが大事で、そこが同じ商品をずっと送り続ける旧来の定期通販との違いだと思います。
ラクサスのお客さまは、みんな同じようにバッグを借りているけれど、人によって好みはさまざま。サービスを継続してもらうには、新しいバッグとの出会い、新しいニーズへの気づきを与えてあげられると、効果的でしょうね。サブスクリプションは、そういう体験をいかにつくれるかが生命線と言えそうです。
ユーザー体験の質が高まれば高まるほど、ソーシャルやリアルな口コミで、ファンやその周辺の人たちが「いいね」と言ってくれるようになり、売れるようになる。逆に、いいねと言ってもらえるだけの体験が提供できないと、売れない時代なのだと実感しています。
さて「オフライン」についても見ていきましょう。藤原さんと森さんに、特に店頭の連動について伺いたいです。
藤原 多様なデータを容易に取得できるようになったので、「データが取得できる」施策を積極的に打ち出すようにしています。具体的にはお話しできないのですが……。
森 オフラインで取得できるデータが重要だなと思っています。店舗の数を増やしているのはそのためなのですが。「店舗で採寸」と言っていますが、身体の採寸は、取得するデータ全体の3割程度。それよりも、お客さまのライフスタイルに関するデータをガンガン聞くことを重視しています。接客しながら伺った情報を、店舗スタッフが管理ツールに入力し、MAに連携してお客さまとのコミュニケーションにつなげています。